第346号(1990年4月1日号)


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ビーチの入場料で対立 恩納村とサンマリーナホテル

 人工ビーチの便用をめぐって、恩納村とホテルの意見が対立。村側は「地元県民は無料にせよ」と主張。対してホテル側は「清掃維持管理費は誰が負担するのか」と迫まり、海は誰のものかという論議にまでエスカレートしている。

■《村側》公共性あり、無料! 《ホテル》清掃料として徴収

 問題の人エビーチは、先ごろオーブン披露を行ったばかりの恩納村にあるサン・マリーナホテルのビーチ。海のシーズンを前に、恩納村側は「ビーチに県民が自由に出入りできるようにしてもらいたい」と要望した。

 これにたいしてホテル側は「ビーチを清潔に保つため、何らかの形で料金を徴収したい」と答え、両者のは「料金徴収」をめぐって鋭く対立している。

 村側のいい分は「人工ビーチを造成する際、ホテル側には公共ビーチとして自由に出入りさせる。との条件をつけた。その約束のうえで恩納村の名前で県に工事を申請し、許可をとりつけた。でき上がったところで、初めの約束である公共ビーチという性格をかなぐり捨てるのはけしからん。たしかに工事費はホテル側が負担したが、ホテルの名前では工事の申請ができないし、許可が出るはずもない。あくまでも公共ビーチという条件でできたはずだ」と公共を強調する。

 これにたいしホテル側は「公共というなら清掃代も村が出すべきだ。そのうえ年に数回、砂も入れている、この費用もバカにならない。この砂代も村が持つのか」と迫る。

 村側は「つくってしまえばこっちのもの」という企業側の態度は不愉快だ。企業のエゴではないか。こんなことならつくらせるのではなかったともらす。

 サンマリーナホテルのすぐ北側にはオーラコーポレーションの大型ホテルが建つことになっているが、ここのビーチは金浜(ケンバマ)といい、このビーチと、サンマリーナの人工ビーチの間に通路をつくり、地元の人たちが自由に人工ビーチに行けるようになる。この工事はモズク漁が終わる六月ころから着工するが、通路ができて人工ビーチヘ自由に出入りできるのは来シーズンになる。それまではホテルの敷地内を通る以外に人工ビーチに行けないわけだが、村側は「通路ができるまで自由にホテル内を通ってもいいのではないか」とホテル側の姿勢を批判する。

 さらに「海はいったい誰の者かホテル側が料金を取るというのは海を自分のものと考えているのではないか」と独占状態を指摘する。

 村の関係者は「この問題は絶対にウヤムヤにしない。あくまでも開放を求めていく。このままでは村民はもとより、県民も納得しないだろう」と強硬だ。

 ホテル側では「ハワイやグアム、オーストラリアでも行政側が清掃料や維持管理費を全額負担している。村側の言い分はおかしい」と強硬だ。

 果たして「人工ビーチ入場料金」はどう決着するのか。

 なお、恩納村内にある「ラマダルネッサンス」と「かりゆしビーチ」は県民に開放、いっさい料金はとっていない。

■論議を尽くそう 無料開放が筋だ

《解説》ビーチに行くのに料金をとる―というのは沖縄独特のシステムだ、はじめホテル側は「入場料」といっていたが、「海に入るのに入場料とはおかしい」の声が出て、現在は「清掃料」「施設使用料」「駐車料」などと名前をかえている。

 しかし、実態は「入場料」である。たとえばビーチ内でゴミ一つ落とさなくても文文句なしに清掃料名目で料金をとられる。

 しかし砂が無くなるので、年に何度か入れ替える。そのための費用を出せというのはおかしい。これではまるで地元が砂を持って帰るようないい方ではないか。それよりもビーチがあるために利益が莫大なものになるのではないか。青い海を求めて、本土から来るのであるから、いってみればビーチは目玉だ。したがって、ビーチは目に見えない利益のかなりの部分を占めている。清掃費を支出しても十分に負担に耐えられるのではないか。

 現に「料金はいらない」というビーチもあるのだから、料金を取らないと維持できないというのは理由にならない。

 こんな垣根をつくるから、「観光は一部企業のもの」「地元とは全く関係ない」という意識を植えつけてしまう。

 村民からも「リゾートはめいわくだ」ということになってしまう。三月十五日付の本紙には、「PATA地域の観光成長がもたらすもの」という諭文が発表されているが、そのなかで「太平洋地域で観光反対の動きが高まっている」と指摘している。

 「……われわれはあまりに消費者や投資家、事業家のことばかり考えてきたようである。目的地の地域住民の利益についてそれほどの注意を払ってこなかった。経済面ばかりを強調し、住民生活全般にたいする観光開発の影響、また住民がホームと呼ぶ場所に抱いている様々な評価への影響というものにあまり関心を払わなさすぎたのではなかろうか」

 リゾートがいかに地域と密着するか、地域の利益を優先していることを行動で示すべきなのである。

 現に恩納村内に立地しているラマダルネッサンスやかりゆしビーチ、読谷村にある残波岬ロイヤルはいずれも人工ビーチを持つが、入場料は無料だ。なぜサンマリーナが徴収するのか不明。

 ビーチに入る人は必ず「汚す」と頭から決めつけるのもおかしい。むしろ、ホテルのパブリックスペースであるロビーの方が人の出入りが多いからタバコの吸いがらやゴミで汚れるはずだ。ホテルはロビーも入場料をとるというのであろうか。

 この問題は、県議会や政府また世論も立ち上って究明しなけれぱならない問題を含んでいる。

 恩納村当局には「がんばれ」と応援している人たちがたくさんいる。県民の世論を背景に徹底した論議を尽くして県民を納得させてもらいたい。(渡久地政夫)


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R問題で県内の土産品業者 旅行社の姿勢に不満爆発

 「旅行社の横暴はけしからぬ」という声が高まってきた。観光業界全体にこのような不満がウズ巻いているが、とくに怒りに近い声をあげているのは土産品業界だ。

■観光客一人1500円 送客ストップで迫る

 みやげ品業界の関係者が口々に訴えるのは、リベートの高さ。業界では送客にたいする手数料をKB(キックバック)またはR(リベート)と呼んでいるが、このRは売り上げの一〇%が旅行業免許の際の申請料金だ。ところが、沖縄では一五%は常識、おおいのは二〇%を要求するところもある。ひどいのは観光客一人にたいし買っても買わなくても千五百円というのもある。仮りにバス一台、五十人を送り込むと旅行社のフトコロには七万五千円が自動的に転がり込むことになる。これでは赤字だとボヤくが、よその店が引き受ける以上、この条件を呑まないと、客をとられることになる。客足がバッタり落ちると、店はやっていけないことになる。そのうえ、募集の際の協賛金を出せ、先進地研修旅行の実施と次々に理由をつけて押しつけてくる。協賛金の場合は、七千人送客するから、六百万円を出せという話も飛び込む。店の規模によって百万円もあるが、バカにならない額だ。

 また研修旅行の場合は、各旅行社がいっせいにやるからほぼニカ月に一回。最近はヨーロッパ、ニュージーランド、カナダなどという遠距離、高額なものへとかわってきた。一人七、八十万円の旅費はザラだ。

 ある旅付社の場合は県内研修旅行と称し、石垣・与那国二泊三日を募集しているが、なんと一人で十一万円。「いくらバカでも我々にも旅費がどのくらいかかるかはわかる。石垣・与那国往復の航空運賃はノーマル料金でも三万五千円。一泊一万円のホテルに泊まっても五万五千円。宴会をしても一万円くらい。豪華な旅行をしても六万五千円ですむはず。あとは旅行社がガッポリもうかる仕掛けです」と内情を暴露する。

 旅行社の横暴はいまにはじまったことではなく、沖縄観光が売り出したころからあった。とくにひどくなったのは最近のことで、格安パックが主流をしめてきた結果、旅行業者は収益を沖縄の受け入れ業者にシワ寄せしてきた。

 旅行社の申し入れを断わると、送客を打ち切られ、経営がなり立たなくなってしまう。そこで、赤字を知りながら泣く泣く受ける構造になっている。

■つきあい旅行も問題 11万円の石垣・与那国研修も

 このような「R体質」は沖縄の観光業界全体にあるが、とくに弱い立ち場にあるみやげ品店に集中的に現われている。

 「なんとか正常化したい」という声は強いが、競争の激しい業界では一致団結することができない。

 これまでにも旅行業者の横暴に歯止めをかけようと話し合いをしたこともあったが、その都度、足並みが乱れてまとまらなかったという。

《本紙記者座談会》弱い者いじめ、誰のための観光か

A 業界の「R問題」がひどいね。

C ごく一部の旅行社だが、業界ではフダつきの旅行社として有名だ。

D どうしてこうなったのだろうか。

A 沖縄は他県と違って一〇〇%旅行業者の送客にたよっているからだ。旅行社が送らない、とひと言いえば首をしめられたようなものだ。

B そのほかに、旅行社を甘やかした点もある。みんな数字ばかりを追いかけて中身を検討しなかったからだ。

A 先に発表された観光波及効果にしても、たしかに観光客は消費している。しかしRという形で旅行社に帰っていくから、地元に残る金額は微々たるものだ。そっくり本土に環流していく。いつまでたっても地元業者の体力は向上しない。

■商取引の名でやりたい放題

C この問題は「商取り引き」というひと言で、監督官庁も手がつけにくい。しかし実態はひどいものでいってみれば「商取り引きという名の搾取」だよ。

B Rを出すために、納入業者たたき、納入業者はメーカーをたたき、メーカーは原料納入者をたたく。結局、コストを下げるために手を抜く。品質のいいのがつくれない。その結果、高くて悪いものが店頭に並ぶ。売れないということになる。

D みやげ品業界のことだからと冷ややかに見ている人が多いが、これは県民みんなの問題だから、真剣にとりくむ必要がある。オレは関係ないとはいえないはずだ。

C よそではどうなっているか。たとえばハワイではどうか。

A ハワイは外国だから、旅行社も無茶なことはいわないよ。もし沖縄のようにふるまうと、追放される。沖縄のように目にあまるふるまいはない。それにたとえばワイキキでは、フリーでショッピングを楽しんでいる。

D 沖縄ではショッピングに四軒も五軒も回るという。

B すると沖縄では五軒回ると一人の観光客が千五百円として七千五百円が入ってくることになる。道理でツアーコースにショッピング回りが五、六軒も入っているわけだ。

C もともと旅行業も、その他の受け入れ業者も一体なんだ。いわは仲間うちだ。だから本来は苦楽をともにするという側面がある。いまの沖縄は、旅行業者が上にいて、地元は下にいる。いってみれば植民地的観光だな。琉球の民族の誇りも、気概も踏みにじられている。これはすべて「客を持っている」というだけの関係なんだ。つまり「金の前」にみんなひれ伏している。

D 沖縄観光を質的に高め、長い時闇をかけて共存共栄するという姿勢に欠けている。

B 実態がわかると、県民はみんな憤慨するだろう。県民がいじめられる観光の体質に疑問を抱く。

C 沖縄の観光業界の従業員の待遇がいつまでもよくならないのはRも関係しているはずだ。

A どうしたらいいだろう。

■地元業者にも問題 正常化を急げ

B 一つは行政側が本気になって実態調査をすることだ。観光入域客の数はたしかに大事だが、地元業界の生の声を真剣にキャッチすることが大事だ。そのうえで旅行社の責任者、たとえば社長に警告を発する。責任者は現場がどうやっているか分からないはずだ。三番目には観光客に直接、実態を知らせる。あなたが参加したツアーはあなたを利用して地元の業者をいじめている。したがって働く者の血を吸いあげているので、今後はこの旅行社のツアーには参加しないようにと、クチコミでもいいから宣伝することだ。そして沖縄から追放することだ。

A すると沖縄には送客しなくなる。

D いや、その心配はない。よそのいい旅行社が送客してくれる。大体、沖縄は自信を持つべきだ。かつては沖縄へはムリに引っ張ってきた傾向があったが、いまでは「リゾート」ブームで客の方が進んで沖縄を選ぶ傾向にある。よそに負けない目的地という自信を持つべきだ。

A たしかにいえるね。この際、旅行社にたよる体質を変えて観光客が進んで沖縄を選ぶように受け入れを充実させることが先決だ。

B さきにも強調したようにこの問題は沖縄全体の問題だから、真剣に取り組む必要がある。なんのための観光か。誰のための観光か、論議が抜けている。

A 単にみやげ品店の問題ではない。ある大手ホテルの場合、送客手数料のほかにやれコンピューターの使用料、登録料、つき合い旅行、宣伝費、協賛金などの名目をあげて出しているが、これらを合わせると売り上げの三〇%は軽く突破するという。そのうえ室料金をたたいて、食事は内容を豪華にせよなどと強要してくるという。

B 県民も観光には強い関心を持っていて、期待も大きいが、実態を知るとがっかりするね。汚い観光とね。

D この際、実態を知らせて、正しく認識してもらうことだ。なにしろ県民がしぼり取られているのだから。怒らないのが不思議だよ。

A クサいものにフタではいけない。

C ほんとの観光立県には避けて通れない問題だ。

A この問題は徹底して追っかけるべきだな。


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県内の旅行社が反発 世界のウチナーンチュ大会

 沖縄県が八月に開催を予定している「世界のウチナーンチュ大会」について、県内の旅行業者は猛反発。ウチナーンチュとは名ばかりと批判の声をあげている。

■幹事社指定に怒る 「誤解だ」と実行委

 これはウチナーンチュ大会実行委員会が「全世界から大会出席のため来島する県出身者はJTBが幹事社になって世話する」ことを決めたことにたいするもの。

 ウチナーンチュ大会はウチナーンチュの手で行うべきである。これでは県民感情も許さない、という意見から、旅行業者の声も聞かずどこで幹事社が決まったのか、という声。さらに、幹事社を通さないと送り込めないのはけしからん。ウチナーンチュ大会を独占させるのか。幹事社は県内業者を選んでもよかったはず、といった声までさまざま。とくに南米については現地で旅行業を営んでいる県人もたくさんおり、幹事社を決めるのは手足をしばるようなものといった意見まである。

 これにたいし実行委員会では「大部分は誤解している」と次のようにいっている。

 JTBを幹事社にしたが、これはすべて幹事社を通さないといけないといったものではない。大会はオンシーズンの八月に開かれる。この時期は航空機の座席も厳しく、各社がバラバラに席を取り合うと混乱し、せっかく来島したくても、席の都合で来れなくなる恐れがある。

 航空会社とも話し合ったが、幹事社を決めて、そこでまとめてとった方がいいという意見だった。そこで実績のあるJTBに決めた。実際には自社で手配できるところは、幹事社を通さなくてもいい。世界各地から東京までの席はとれるとしても、東京=沖縄間が難しい。そこを幹事社がお手伝いするといったものである。

 また南米はともかく、北米やヨーロッパでの募集はJTBでないとできない」といっている。

 いずれにしても、幹事社とはいわば補完をするようなもので、決して独占させるものではないと強調。もし必要なら県内の旅行業者のトップに事情を説明して誤解をときたいという。初めて開かれるウチナーンチュ大会について、地元から反発の声が出たことは、大会成功に向けてマイナスとなりそうだ。

 ウチナーンチュ大会は県が一億五千万円をかけて、八月に行うもので、名誉大使百人程度を任命することなどが主なもの。このうち約百人程度は県が旅費の半額程度を負担する招待とし、あとは自費で参加することにしており、その数はまだ確定していないが、八百人から千人程度になりそう。

 すでにハワイから三百五十人程度の予約が入っているという。


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