第566号(2000年4月1日号)


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県、次期観光計画策定へ、JTB旅連支部が「政策局」提言

 JTB協定旅館ホテル連盟沖縄支部(国場幸一郎会長)は三月十七日、県庁に稲嶺恵一知事を訪ね、観光行政について提言した。提言をまとめたのは支部内の「沖縄観光の将来を考える会」(平良朝敬委員長)で、提言書を直接平良委員長が稲嶺知事に手渡した(写真)。

 提言は五項目からなり@観光事業推進のための推進体制の強化A観光産業の重要性の投げかけと県民市町村、庁内職員の意識の高揚B観光経済効果調査の実施と観光統計の整備C二十一世紀のさらなる発展に向けた観光リゾート沖縄の魅力基盤の整備D観光産業発展に向けた人材育成の強化を申し入れた。

 特に推進体制の強化では現在の「観光リゾート局」を「観光リゾート振興・政策局」として政策立案機能を強化して欲しいと求めた。

 これに対して稲嶺知事は「新年度は新たな観光振興基本計画を策定する年であり、現在、これまでの計画を総点検している。七月には新しい計画策定に着手する予定でその際、皆さんの提言を織り込みたい」と応えた。

 知事はさらに「観光産業が高い失業率など厳しい沖縄の景気に果たしている役割を評価すべきであり、提言はもっともなこと。これまで観光関連に公共事業が導入できなかったが、今後はそれが可能となった。サミットを機に観光産業のステータスが上がる。マーケティングも必要で、やる気のある人がいくらでも伸びるような環境を整えることが必要だ。現在の有力企業もはじめはベンチャーだったが、最近はなかなか新しい企業が出てこない環境になっている。これを改善したい」と述べた。

 提言をまとめた研究会は九九年度から三年がかりで目指すべき沖縄観光のコンセプトづくりのために研究を始めている。九九年度に高齢者マーケットの開拓と対応について、二〇〇〇年度にリピーター対策と滞在型需要開拓について、〇一年度に沖縄観光が目指すべき将来ビジョン、〇二年度に全体をまとめシンポジウムなどを開催する予定。

■業界はもっと提言を

《解説》 県が新たな観光振興基本計画に取り組むことを明らかにしたのはこれが始めてで、特に観光業界の提言を基本計画に織り込みたいと知事が発言したことは注目される。これまでの計画では十年前の三百万人体制、現在の五百万人体制が目標となった。

 同席した大城栄禄観光リゾート局長によると「現在、観光行政の総点検を行っている最中」といい、七月以降の基本計画策定に向けて急ピッチの作業が続けられている。次期計画に向けて、各業種を網羅した活発な議論や新たな提言が求められる(A)。


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輸入検査は民間に任せて、OTOが改善報告書を提出

 市場開放問題苦情処理(OTO)推進会議(議長・大河原民雄元駐米大使)は三月十六日、輸入食品の検査機関の民間開放など十二項目の検討課題を盛り込んだ報告書を政府に提出した。平成十二年度中に結論が出る。

 輸入食品の検査機関の民間開放は(社)沖縄県貿易協会が要望していたもので、缶詰類の輸入に必要な検査項目が多すぎ、輸入業者の輸入意欲を著しく削いで、輸入が激減しているとして、検査料の軽減を求めていたもの。

 OTOはこの問題を取り上げ、現在、厚生省が指定した財団法人か社団法人でなければ検査ができないようになっているが、大学や病院など民間の検査機関も認め市場競争原理を持ち込むよう政府に改善を求めた。

 沖縄県貿易協会は「従来から農水産加工食品(缶詰)が県民の必需品として定着しているが、最近特に検査項目が多すぎて輸入業者の輸入意欲をそいでいる」と昨年二月、沖縄で開催されたOTOの意見交換会で問題提起。

 「沖縄市場の輸入業者は中小零細企業が多く、市場も小さいことから発注数量も本土の輸入業者と格段の開きがあり、コンテナの中に各品目百ケースから二百ケース単位で取り混ぜて輸入している。このため品目ごとの検査に対して検査料金が輸入コストに重大な影響を及ぼしている。検査料の軽減に配慮して欲しい」と要望していた。

 検査は初めて輸入されるすべての缶詰に対して@大腸菌群(一万円)A亜硫酸根(一万円)Bクロストリジウム属菌(一万円)が一律に要求されるほか、必要に応じて安息香酸(一万円)、ソルビン酸(一万円)、ポリソルベート(一万円)、BHA・BHT(油脂類)(一万円)、アフラトキシン(二万五千円)、色素関係(赤四〇号、黄四号、五号、青一号、二号)(三千円)などが求められる。沖縄では実際に九万ドルの商品に対して検査料が二十九万五千円かかった事例があるなど、輸入者の負担が大きく なっていた。

 当初、厚生省は検査料は検査機関と輸入業者の契約であり、検査料に厚生省はタッチしていないと説明したが、沖縄側が「沖縄の指定検査機関は一つしかなく、全国一律料金だ。民間も指定して競争させるべき」と要望。民間の検査では公正さが確保できない恐れがあるとする厚生省の考えは「時代遅れで国民への説得力が十分でない」とOTOは強く改善を求めた。


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「他国も見習え」基地閉鎖・再利用の専門家カイザー氏、成功例を示すことが大事

 米国には基地閉鎖を専門に研究し、地域のコンサルタントをつとめる民間の専門家がおり、政府にも基地閉鎖を勧告、提言している。マイケル・カイザー氏 (写真)はそのような専門家の一人である。シスターシティーのコンサルタントでもある。カイザー氏は米国内で基地閉鎖の専門家として著名で、議会でも基地閉鎖を勧告、一九八五年、八六年の法律制定につながった。

 米国は国内基地の閉鎖を一九八八年からすすめ、九三年まで法律が制定された。さらに二○○○年、二○○五年に閉鎖が予定され議会で可決されている。

 海外の基地閉鎖に関してはドイツでの経験があるが、社会的な影響も大きく難しいことを体験している。米国、ロシア、フランスでも基地が閉鎖されてきたが、ドイツの影響がもっとも厳しかった。パナマも十四のベースが閉鎖されるが、これも大変な作業になる。

 基地閉鎖は常に成功しているわけではない。パナマは最初は厳しかった。米軍の建物はいたずらされ、破壊された。大理石の素晴らしい建物の破壊がコミュニティーで起こった。ドイツ、ポーランド、ロシアが基地を閉鎖した際にも施設内の価値のあるものが盗まれた。基地閉鎖ではこのようなことが起こることをぜひ世界の実例を見て学び取って欲しい。

 どの国の基地閉鎖にも共通項があると思う。閉鎖法に基づき、コミュニティーと協調して米国内基地は閉鎖されている。しかし、閉鎖法は必ずしもうまく活用されているとは限らない。基地問題は軍や国防総省よりもコミュニティーの方が細かいところまで分かっている。ホワイトハウスもかなりのことをやっているが、実際には市長が主催する超党派の基地閉鎖のタスクフォースで細かい点まで議論し、大統領と議会、BRAC法のチェアマンに改善点を勧告する。タスクフォースメンバーは百人以上とな る。

 基地閉鎖と跡利用は海外で行われていることも見て、政府に受け入れられるべき具体的なことをまとめ、組織的に勧告すべきだ。こうして双方向の対話が出来るようになる。

 例えば、米国のマッキンリー法によって基地内の住宅は第一にホームレスのものになる。これは市長にとっては好ましくないことかも知れないことである。

 基地を閉鎖するとかなりの職が失われる。しかし基地内の労働者は基地の隅々まで知り尽くしている。そこで職を失った労働者に企業家になれと呼びかけ、基地内の工作機械を使って起業した例がフィラデルフィアなどにあり、成功している。全ての基地で従業員は資産だと捉えるべきで、そのマーケティングを支援したこともある。

 ここに私がまとめた報告書を示すが、これは環境、教育、福祉、労働、運輸などこれまで基地が閉鎖されたところのあらゆるプログラムをまとめたもので、閉鎖基地のある地域の市長にとって欠かせない資料になっている。

 例えば空軍基地が閉鎖される場合は運輸省が滑走路を作り直す手助けをした実例と具体的な方法を示し、公園にする場合も支援策がある。それらの実態を全部まとめたものだ。跡利用の断片情報はたくさん集まる。それを私たちのような学際的な領域の専門家がチームを組んで跡利用の結論を出すことが必要になる。

 跡利用のアプローチは二つある。一つは上意下達だ。民生転用のルールや仕組みが中央政府から出るものだ。しかし跡利用を成功させるためにはそうではなくボトムアップのアプローチを考えて欲しい。ワシントンの知識人だけではだめだ。地方で積極的な人たちの意見を聞くべきだ。

 私はリーダーシップは地方で発揮されるべきだと考えている。例えば基地の跡利用について、市長は最初は傍観するだけだった。しかし、グループを組織して連邦政府に提言した。連邦政府はそれを聞いてくれた。日本に市長会のようなものがあれば大変役に立つ。沖縄の場合一つの市をとりまく閉鎖になるのか。

bb沖縄では宜野湾市にある普天間基地が最大の関心事だ。

 それを聞いておいてよかった。私はプエルトリコで二つの市、グァイナボとバイアモンにまたがる基地を閉めたことがある。そこでは二つの市が協力するという前提だった。しかし、途中で両市がケンカしてしまい大変難しい状況になったことがある。閉鎖基地のある市町村は協力しなければならない。

bb沖縄の場合ほとんどの閉鎖基地は私有地で、閉鎖後三年間は地代が支払われる。このため地主の閉鎖後の収入が大きな課題になる。

 アプローチはタウンミーティングだ。全ての地主を一堂に会して腹を割って話し合うことだ。

 パナマでは民間部門が私たちを招聘した。魅力的な不動産が市場に出たとき、全体の地価が下がるのではないかと心配された。そこで全ての利害関係者が集まることが必要だ。このような集まりでは労働組合、少数派が入ってが会議を妨害したりすることもある。あるいは先住民や外部の力によって会議が紛糾することもある。

 しかし全ての人たちに門戸を開くことによってかえって問題は解決しやすくなる。逆にその人達を閉め出すと後に必ず問題になる。

 だから基地閉鎖は不動産が大規模に市場に出ること、労働組合など利害関係者で紛糾することが多い。紛糾させないために人を閉め出していることが多いのだが、例えばフィラデルフィアでは先住民を閉め出そうとしたために数年間も問題は解決していない。

 タウンミーティングでは叫び出す人もいたりして紛糾するかも知れないが、これによって問題点が明らかになり後々スムースに行くものだ。

bb普天間の場合二千人以上の地主がいて、権利者は毎年どんどん増えている。地代が高くそれに見合う利用計画は難しいと思う。それでも全員を集める方がよいと思うか。

 一堂に集めるべきだ。その場を提供すべきだ。自分に発言権があること、それを確保することが必要だ。閉め出されていると感じる人がいれば、妨害する可能性がある。

 そしてその場で世界中で成功している例を見せるべきだ。ルイジアナやアレクサンドリア市のランドルフさんなどの例が面白い。

 基地が開いていたときよりも閉鎖した方が成功している。まわりの土地の価値が高まった例があり、これまでと同じ地価にはならなかったかも知れないが、長期的にはうまくいった例がある。ぜひ成功例を示すべきだ。

 さらにそこに集まる全員が何らかのリソースを持っている。例えば空軍基地の滑走路は民間飛行場にしようと誰もが考えるが、地元のアイデアで滑走路を大型トラックの運転練習場にして大変成功した事例がある。兵士の宿舎を学生寮にしたところもある。

 環境問題ではドイツの例で驚いたことがある。基地があったために周辺環境がうまく保護されていたというものだ。閉鎖に当たって周辺の地域で死に絶えていた貴重な動植物が基地の中にあった。

 パナマでは保護されていた環境をうまく使って基地の中だけにある植物を使ったツアーが生まれている。

 課題もあるが世界には成功事例もたくさんある。ポーランドでは基地閉鎖時に何の計画もなかった。すると基地内の価値のあるものが全て盗まれた。私も相談を受けて出かけたが、数年前までポーランドでは国境を越えるのに数日掛かった。そこでは古い車のパーツを仕入れてロシアに売るといったことが行われていた。しかし、閉鎖基地の機械を使って自動車の修理工場にするというアイデアが出てきた。

 このように地域住民全員に参加してもらうことによって問題が解決される場合がある。コミュニティーの人間は資源だと考えるべきだ。国が上から命令して何かをさせるより、ローカルのパワーを大切にすべきだ。

 G8でクリントン大統領が沖縄を訪れるが、彼は初めてタウンミーティングを取り入れて人気を集めている。沖縄でもタウンミーティングを開く可能性がある。ロシアの大学でタウンミーティングを開いたこともあり、クリントンは話を持ち出せば乗るかも知れない。

 私の経験では基地閉鎖問題では市長を中心にタウンミーティングを開くのがいい。コミュニティーを代表し、マスコミにも対応可能だ。そこにいろんな人を呼び込んで成功例を話すことが大切だ。

 しかし、世界ですでに成功していることを沖縄でやる必要もない。土地は少しずつ分割して市場に出すべきだ。セキュリティーも大切だ。よそ者が入り込んで施設を壊さないようにしなければならない。また、基地司令官を巻き込むことも大切だ。いまから出来ることはぜひやるべきだ。基地が閉鎖されてから、返還されたときに行動を起こすというのは間違いだ。閉鎖の前に計画を策定すべきだ。

 普天間に関しては詳しく分からないが、米国なら使われていない土地を区画して早期に返還する話しに積極的な協力を得た。区画して早期に返還できないかについては米国に成功例がある。また、施設は移転するだろうが、米国なら跡利用するのでそのままにしてくれという交渉も可能だ。

bb沖縄の場合、地位協定で米国に基地跡利用を支援する義務はなく、返還時期も分からない。チームを組んで跡利用計画を作る際には市役所レベルが良いのか県レベルか。

 私はなるべく地方レベルに近い方がいいと思う。県レベルでは官僚的になりがちだ。跡利用委員会はいまから組織して基地の司令官と対話を持って欲しい。米国では市長が対話を求めると司令官は耳を傾けざるを得ない。奥さんが地域で買い物をしたりして地域と密接にかかわっているからだ。閉鎖時にはこのビルは残して欲しいといった要望は出すべきだ。大統領に報告した際、地域にはこのような要望があったことを初めて知ったということがあり、今後は司令官に話をしておいてくれと要請されたこと もある。

 冷戦に勝利した代償が基地の縮小だった。米国でも基地の跡利用が完成するまで三十年もかかった事例がある。しかし、時間は味方だ。時間を有効に活用すれば跡利用は成功する。

bbアメリカで沖縄基地の跡利用計画策定に協力するシンクタンクはあるか。

 いくらでもある。世界中に目を向けて欲しい。国防総省にも予算があり、沖縄でもそれを使えるようにする方法があるのではないか。国防総省には周辺国に助成する予算がある。

 プエルトリコのビエケスは海軍が実弾演習を行っている。この演習場は各国が使っている。ビエケス住民は閉鎖してくれといっている。しかし国防総省が必要だといっている。ホワイトハウスは困っている。今朝のラジオでは実弾を使わないことで合意し、基地閉鎖に一歩近づいた。住民の力を見せつけた実例だ。

 民間部門を決して軽視しないで欲しい。日本政府だけを重視しないで欲しい。FEDEX社はフィリピンで大成功を収めている。カリフォルニアではヒューレットッパッカード社が土地を買い上げている。

 ドイツではコンクリートの壕があった。数千カ所あって入口があり、弾薬庫になっていた。何も役に立たないだろう無用の長物と考えがちだが、地元の人ならではの活用法を思いついた。ここでは地元の農家が馬舎にした。オランダと同様にここでは馬が農作業の主役だった。競馬場のような施設も作り、さらに弾薬庫が冷暗所であることから、きのこの栽培に活用した。起業家も現れた。大学が借り上げてキャンパスにしたところもある。これらの発想は全て地元から出てきたものだ。

 長期に渡ったアメリカ視察報告はいったんここで締めくくりにする。アメリカのものの考え方そのものをできる限り忠実に再現しようとしたのが、この連載の目的でそれはほぼ達成された。意外に米政府関係者が沖縄基地に柔軟な考えを持っていることが分かったのは大きな成果だ。アメリカの状況は調べればすぐ分かることなのだが、基地問題のニーズが国内では少なく、誰も取材してこなかったという事情がある。国や県の機関でさえこれまで手を出していなかったし、視察した人もいるにはいるらしいが、全く公表されてこなかった。その資料を見たが、立場もあるのだろう、米側の説明を聞くだけに止まっている。今後は本報告が基礎資料となって日米両政府との交渉が沖縄側に有利に進められよう。

 最近もブッシュ大統領候補の外交・軍事顧問のアーミテージ氏が「沖縄基地の十五年期限問題は十年後に日米と沖縄で協議し、仕切直す」という妥協案を日米両政府に示すなど、動きがある。同氏は閣僚入りすればこの構想を進めるとも明言している。連載第一回のアーミテージ氏との意見交換はまさに沖縄基地の長期展望について沖縄側をコミットさせるべきであると主張したものだった。同行メンバーとの議論など本連載に取り上げなかった部分は別に報告する機会があろう。(本紙・渡久地明)


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