第690号(05年11月15日)


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《特別解説》
日米政府は公に言えないが
海兵隊は撤退である

 【特別解説】 日米「2+2」合意のかなり精密な予測が三年前に出版された『日米同盟の新しい設計図‐変貌するアジアの米軍を見つめて』(長島昭久著、日本評論社、〇二年三月=写真)のなかに含まれており、注目されている。(本紙・渡久地明)

■海兵隊の最終段階示す 予測的中 注目の長島昭久氏論文を読む

 著者の長島氏は八八年に慶応大学修士課程修了後、代議士秘書などを経験、九三年から米ヴァンダービルト大学客員研究員、ジョンズ・ホプキンス大学大学院、外交問題評議会研究員など米国で安全保障問題に取り組み、政策を提言している。

 論考の基調は日米同盟が日本では「世界の中の日本」ではなく、もっぱら「対アメリカ」という視点で論じられてきたのに対し、同盟のパートナーである「アメリカが世界をどう捉えているのか」を精密に理解し、その上で日本の国家目標に合致した政策提言を行う、というもの。

 米の有力な安全保障問題研究者らとのディスカッションやインタビュー、論文が紹介されており、海兵隊は朝鮮半島危機に備えた軍隊であることが常識となっていることを示し、海兵隊の沖縄からの撤退の要件を次のように予測している。

 《第二に、今後十五〜二十年を考える場合、地勢戦略的に大きな衝撃を想定しておかねばならないのが、朝鮮半島における「冷戦」の集結である。そして、「ポスト朝鮮半島冷戦」で確実に起こることは、極東にける米軍の再編である。このことが、アジア太平洋における米軍の前方展開戦略の抜本的な見直しを加速する可能性がある。すなわち、現在朝鮮半島に前進配備されている二万七千にのぼる米陸上兵力の再編は直ちに、日本の米陸上兵力‐端的には沖縄に駐留する一万九千人の海兵隊‐に影響を及ぼすであろう》(第六章、米新政権の「国防改革」と前方プレゼンスの将来)

 さらに、その内容についても、他の研究者の「大胆な」予測を引用して、沖縄海兵隊の最終段階を描いている。

 《(朝鮮半島に平和がもたらされ)、在韓米軍の主力である陸軍第2歩兵師団や沖縄駐留の第3海兵遠征軍が撤退した後も、水陸両用戦の最小単位である第31海兵遠征部隊およびその支援部隊約五千人は残り、沖縄と韓国の間でローテーション配備となり、沖縄には旅団規模の事前集積施設が新設され、岩国基地へは撤退する海兵隊の固定翼作戦機に代わって空軍の作戦機が移動、普天間基地にあったヘリコプター群に代わって在韓米軍のヘリコプターが増強される。》(ブルッキングス研究所、オウハンロン上席研究員、一九九七年のレポート)

 「2+2」合意文書でこれに相当する部分は、海兵隊の削減の項目で次のように記されている。

 《○兵力削減=上記の太平洋地域における米海兵隊の能力再編に関連し、第3海兵機動展開部隊(VMEF)司令部はグアム及び他の場所に移転され、また、残りの在沖縄海兵隊部隊は再編されて海兵機動展開旅団(MEB)に縮小される。この沖縄における再編は、約七千名の海兵隊将校及び兵員、並びにその家族の沖縄外への移転を含む。これらの要員は、海兵隊航空団、戦務支援群及び第3海兵師団の一部を含む、海兵隊の能力(航空、陸、後方支援及び司令部)の各組織の部隊から移転される。》

 「2+2」合意文書で「第3海兵機動展開部隊」「第3海兵師団」と仮訳されているのは、一般には第3海兵遠征軍(VMarine Expeditionary Force)で通用しており、三つしかない世界の海兵隊の一つである。それを海兵機動展開旅団=海兵遠征旅団(Marine Expeditionary Brigade)に縮小するといっているのは、MEFが撤退し、代わりにMEBに縮小すると言うことであり、オウハンロン氏の予想そのままである。

 海兵隊は撤退なのだ。

 ただし、日米ともに海兵隊は沖縄から撤退するとは公に言えない。間違ったサインを国際社会に出すことになるからだ。

 一方、長島氏自身は普天間機能の辺野古移設をこう提言している。

 《したがって、米本土で行われている海兵隊の大規模な空地統合訓練に比して、米海兵隊が沖縄でやる訓練は九九%の即応体制で米本土から送り込まれてくる兵力を海外の多国間演習や作戦行動に送り出すまでの間「練度を維持」することが目的で、ほとんどが中隊規模で行われている。この「兵力関与」の特性を活かしつつ、すでに火力も兵力も限られている沖縄駐留の第3海兵遠征軍を、現在の一万五千人からどこまで減らせるかが日米協議の重要なテーマである。

 同時に、沖縄県が米軍駐留によって感じている負担を軽減するために、現在進行中のSACOに加えて、海兵隊基地をできる限り沖縄本島の中部地区(渡久地注、沖縄地図を見て中部としたものと思われる。実際は北部)に集約させる新たな基地の整理統合計画していくことが必要と思われる。具体的には、那覇港湾施設と牧港補給基地を普天間飛行場の移設が決まっている辺野古地区へ移設し、新設飛行場を軍民共用とともに自衛隊との共同使用とすることが考えられる。さらにはキャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧なども中部地区の広大なキャンプ・シュワブ内に移転させれば、沖縄県の提示する懸案の大部分を解決することができる(実際、こうした重要機能を集約することによって米海兵隊の作戦能力も大幅に向上するから、兵力削減に向けた柔軟な対応が可能となるであろう)》(第九章、政策提言【提言9】)と今回の合意とほぼ同じ普天間基地の移転の様子を提言している。

 これら提言や予測は米国の安全保障問題の専門家らから通常語られていた内容であろう。

 先に来沖して、普天間飛行場の辺野古沿岸移設を説明した米国防総省のヒル日本部長も九九年時点で沖縄本島北部に基地を集約して、米軍の足跡を日常生活から見えないようにしたいと筆者らに述べていた。

 以下三点は筆者の視点も交えた解釈である。第一に沖縄の第三海兵遠征軍は撤退であり、旅団に縮小される。

 第二に普天間の辺野古移設は米軍の古くからの希望であり、今回の「2+2」合意で陸上か浅瀬かで飛行場の建設場所を巡って日米が火花を散らしたというのは、限りなく芝居に近い演技であり、軍事的にはベストポジションとなった。

 第三に沖縄海兵隊の意味がガラリと変わることになった。

 北朝鮮問題が近く解決することを折り込んだ再編であり、他の中台問題やインドネシアの内戦、インドとパキスタンの衝突が非軍事的に抑えられるようなら、沖縄の海兵旅団は朝鮮半島問題解決後の半島の監視の役割程度しかないことになる。そして、アジアの安定とともに、米軍は万が一の有事に使用可能な基地を、平時は自衛隊に任せ、全面的に撤退する。

 「沖縄基地に長居はしない」と九九年暮れに本紙記者らに述べたアーミテージ氏の発言の意味はこのようなものであったと思われる。

(米軍の沖縄撤退を予測していた他の研究者・軍事専門家も多くいますが、本稿は長島氏の著作に焦点を当てました。)


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RVリゾートを推進 沖縄有望と米領事館で講演会

 在沖米国総領事館は十一月十八日、講演会・沖縄への新しい観光産業への提案「米国のRVリゾートについて」を開催した。県内でもRVリゾートの計画があり、アメリカの現状と県内の動向をまとめた。

■米で退職者に普及 日米 トレーラーハウス、車両で合意

 領事館で開かれた講演会にはトレーラーハウスをすでに運営している事業者も含め、約二十人が集まった。講師は米国大使館商務部の須藤高司上席商務官と名城ビーチでRV(リクレーショナル・ヴィークル)リゾートを計画している牛尾弘行社長。

 須藤氏はこれまでこれまで十二年間、日本でのRVリゾートの普及のために日本当局と協議を重ねるなどしてきた経験から、沖縄での実現が極めて有望と見ている。

 トレーラーハウスでのキャンプが日本ではイメージされるが、アメリカでは広大なRVパークが整備され、主にリタイヤした高年齢層に人気がある。トレーラーハウスの内部はベッドルーム、キッチン、バス・トイレ、リビングなどがあり、ホテル並みの内装。

 トレーラーハウスが建物か車両かという区別はアメリカでは厳密に四百平方フィート以下は車両、それ以上はモジュラーハウスと区別されている。いずれも、工場で生産され、モジュラーハウスは住宅そのものとなる。

 トレーラーハウスはRVリゾートなどレジャー施設に置き、住宅として住んではいけないことになっている。価格は内装を省いた安いものなら五百万円程度、沢山のオプションを付けると一億円を超えるものもある。

 アメリカのトレーラーハウスの利用者は八〇%が中産階級の退職者で、九五%が持ち家があり、レジャーとして利用している。人気のキャンプ場はラスベガスやフロリダのディズニーランドなどにある。全米に民間のRVパークが八千カ所、公営が九千カ所あり、退職後の第二の人生の過ごし方として一般的になっている。

 RVリゾート内にはカルチャー教室や趣味のメニューが満載だ。退職者がそれまでの経験を生かして、趣味のコミュニティーを造り、ボランティアで運営している。イベントの問い合わせ先もRVリゾートの管理者ではなく、コミュニティーの主催者の電話番号が掲示され、毎日のように、何かのイベントや教室が開かれている。

 これと同じことが沖縄で非常に有望と須藤氏らは見ている。沖縄でもすでに石垣や北谷、名城ビーチで輸入されており、数十台の規模で活用されている。

 最近県内でトレーラーハウスが建築基準法の建物か、車両かで新聞紙面を賑わせたが、日米の協議では車両で基本合意している。ところが法律の解釈が地方によって異なる場合があり、米国大使館はねばり強い説明を続け、普及に弾みをつけたいとしている。

 県内では沖縄RVリゾート開発株式会社の牛尾社長がねばり強いリゾート開発に取り組んでいる。

 名城ビーチに用地を確保し、モデル・トレーラーハウスを置いて、見学者を歓迎している。

 名城ビーチに来年以降二十五台のトレーラーハウスを置いて、新しいタイプの低価格のリゾートとして売り出す計画だ。受付などのフロント棟を設け、各トレーラーハウスには駐車場、ウッドデッキ、電気・上下水道・ガスを付ける。名城ビーチのシャワーやトイレ施設をリニューアル、プールも綺麗にする。バーベキュー用の食材が買えるショッピング棟なども用意する予定。

 オフシーズンには一泊家族で一万円台の価格を設定しており、四〜五人で利用できる。展示されているトレーラーハウスはベッドルーム(二人)、リビングにソファーベッド(一人)がある。二階にロフトがあり、子供二人が寝られるようになっている。

 名城ビーチは那覇市内から最も近いビーチで、県民のほとんどがここで海水浴を楽しんだ経験がある。最近は恩納村などのビーチに人気がシフトしているが、いまでも夏場の名城ビーチは県内客で溢れかえる。多くがテント持参でキャンプやバーベキューを楽しんでいる。シーズンが終わるとCMのロケ地として撮影チームもよく入っている。

 牛尾氏は「RVパークトレーラーを利用した日本型ハッピーリタイアメントヴィレッジが引退した方や引退後の人生設計を考えている方々にとって新しいライフスタイルの創造につながり、沖縄の新しい産業振興と地域活性化に貢献できる」と意気込んでいる。


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観光客2千万人突破 香港

■08年までにホテル続々建設

 香港政府観光局は十一月一、二の両日、県内旅行社とメディアの担当者に香港情報のアップデートセミナーを開いた。日本・韓国地区の加納國雄局長が〇六年の新しい香港の魅力を説明、〇六年は香港旅行年として、世界的なキャンペーンを展開する。

 香港への観光客数は〇四年には二千百八十一万六百三十人(四〇・%増)と前年のSARSの落ち込みの反動で驚異的な伸びを見せ、このうち日本人は百十二万六千二百五十人(二九・九%増)と大幅に伸びた。

 〇五年は八月までの実績で千五百十六万五千九百二十三人(七・八%増)、このうち日本人は七十七万千四百十八人(一三・六%増)と好調に伸びている。

 懸念される客室不足は「起こっていない」(加納局長)とし、続々とホテルが新設されており、〇五〜〇八年までに三十九ホテル、一万七千八十八室が新規開業する。この結果、〇八年の総ホテル数は百四十ホテル、五万六千二百十六室になる。

■注目の巨大プロジェクト 次々に計画、開業始まる

 大型プロジェクトも目白押しで、今年オープンした香港ディズニーランドを始め、次のものがある。

◎シンフォニー・オブ・ライツ

 〇四年一月十七日からスタートした香港のイルミネーションを一段と美しく演出するアトラクション。香港島側のウォーターフロントにある香港コンベンション&エキジビションセンターをはじめとする二十棟の高層ビルに設置されたサーチライトが香港の夜景を一層華やかにする。毎晩二〇時〜二〇時一四分の実施。

◎アベニュー・オブ・スターズ

 〇四年六月に完成したアベニュー・オブ・スターズは、香港の映画スターを讃えた新しい観光スポット。香港の映画スター達に囲まれてウォータフロントプロムナードを歩いているかのような体験ができる。香港の人気映画スターの手形や彫刻、香港の映画の歴史や話題作、香港島の夜景も眺めることができる。限定のお土産なども販売される予定。

◎香港ディズニーランド

 〇五年九月十二日にオープンした香港ディズニーランドは、ファンタジーと冒険の世界へ案内する。ミッキーと彼の友達はもちろん、香港ディズニーランド独特の中国テイストあふれるアトラクションも取り入れられる。ランタオ島に建設中の施設の総面積は百二十六ヘクタールで、二つのホテル、ショッピング、ダイニング、エンターテインメントを含めた総合施設がある。交通の便が非常によく、香港の中心街から僅かの距離で夢の世界に到着する。

◎ゴンピン360ケーブルカー

 東涌からポーリン寺天蓋大仏まで、〇六年初頭完成予定のケーブルカーはランタオ島の上空を五・七キロに渡って走る。東涌からポーリン寺までおよそ十七分で、空中から天壇大仏を観賞できる。

◎香港ウェットランド・パーク

 中国の七大重要湿地帯の一つに数えられるマイポー自然保護地区に隣接する香港ウェットランド・パーク。広さは六十四ヘクタール(東京ドーム約十四個分の大きさ)で、普段見ることの出来ない貴重な鳥や動物を観察することが出来る。完成予定は〇六年初頭。

◎アジアワールドエクスポ

 アジアワールドエクスポは七万u以上のスペースを持つ、コンベンション、展示会、会議及びイベント会場などの多目的センター。十のホールを持ち、その中の八つはつながっている。一階面積は六万六千uで、すべて柱のない展示ホール。その他、多目的ホールの面積は一万八百八十uで、収容人数は一万三千五百人で、大型イベントを開催するのに最適。香港国際空港の近隣に位置し、地下鉄の沿線にあるので、アクセスも便利。香港はコンベンション施設が充実しているので、イベントなどの最適な開催地 として多くのイベントプランナーに支持されている。予定完成は〇五年十二月末。

◎チムサアチョイ美化計画

 香港を訪れた旅行者は必ず訪れる九龍サイドのチムサアチョイウォーターフロントが、現在改装中。完成後はさらに綺麗な憩いの場になって、観光客を迎える。改装後のチムサアチョイウォーターフロントで、昼間の風景はもちろんのこと、香港島ビクトリア・ハーバーの摩天楼群の夜景は輝きを一層増す。完成予定は〇四年から〇六年。

◎大観覧車

 高さ七十五メートルの巨大観覧車が九龍サイド、チムサアチョイのオーシャンターミナルの先端に建設される。この巨大観覧車のゴンドラは三十二台、一台あたりの定員は十二人。この巨大観覧車に乗って眺める香港の摩天楼群とビクトリア・ハーバーの風景は、ビクトリアピークから眺める風景と違って新しい魅力のひとつとなり、新しいアトラクションとして人気を呼ぶこと間違いない。完成予定は〇六年。

◎旧海上警察本部

 百二十年前に建てられた旧海上警察本部が、新しくホテルへ生まれ変わる。新デザインにはビクトリア建築様式が用いられ、ビクトリアーハーバー及び香港島の素晴らしい摩天楼群の眺めを満喫するには最適な場所。完成予定は〇七年。

◎セントラル警察署

 古き良き時代のムードを今に伝えるコロニアル調の建物のひとつセントラル警察署が飲食街として有名なソーホーとランカイフォンを結ぶ新しい古跡観光地区に生まれ変わる。完成予定は〇九年。

◎ウェストカオルーン

 文化地区の開発計画が現在進行中。世界レベルのアートやエンターテイメント施設が、国際的にも有名な建築家、ロード・ノーマン・フォスター氏により率いられるチームがデザインする美しい半透明の天蓋の下で一体となる。ウェストカオルーンの開発は、一〇年から一二年にかけて完成する予定。


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