連載コラム視点598
渡久地明(沖縄観光速報社)


日本の安全を宣言すべきである

 晴天のニューヨークWTCビルに吸い込まれるB767の映像が世界中に流れ、これが現実に起こったことかと理解されるまでにしばらく時間がかかったのは筆者だけではないだろう。映像から多数の人命が奪われたという感覚が伝わらない、ハリウッド映画かと思わせた。

 その後、国防総省にも航空機が突っ込み、大統領は「これは戦争である」と演説「武力報復を行う」とした。パールハーバー以来の奇襲であるという報道である。たくさんの情報が流れ、事件から三日たって、アフガニスタンにいるテロ指導者ラディン師犯人説が強くなった。

 テロは周到に準備された。航空機の運航を練習し、ハイジャックしてパイロットを殺害、自分で操縦して特攻した。

 一九二〇年代の終わり、ニューヨークでクライスラービルとエンパイアステートビルの二つが世界一を競った。誰が世界一かというプライドの競争だった。WTCビルは七〇年代この記録を破る目的で造られた。アメリカを象徴するビルである。十数年前にこのビルの屋上に上ったことがあるが、怖くて手すりににも近づけなかった。常に数十人のニューヨーク市民や観光客がいるようだった。

 テロリストはこれを破壊した。同時に世界最強の軍隊を指揮するペンタゴンへの攻撃である。二年前にペンタゴンを訪れたが、堅牢な砦であり、入るには厳重なチェックが行われていた。しかし、同時にペンタゴンツアーのようなものも行われており、高校生らしきアメリカ人グループのツアーがいくつもあった。歴代将軍の肖像画や、米軍の栄光の歴史が廊下に飾られていた。

 世界で初めて飛行機を飛ばしたアメリカで、アメリカの飛行機を使ってアメリカの象徴に攻撃を加えた。やり方は、特攻である。奇襲攻撃である。パールハーバーが思い出された。

 六〇年前パールハーバー奇襲への報復は原爆投下で終結した。日米戦争の反省から再びの核攻撃はない、アメリカにいるアラブ人への迫害はしない、という報道もある。

 しかし、武力報復をアメリカが行った場合、さらにテロがエスカレートする心配がある。当然武力報復まで予想してテロに踏み切ったのであり、報復に対する報復の準備がすでに行われているのではないか。リモートコントロールできる爆弾がすでにアメリカ国内に埋め込まれている恐れがある。

 米国はNATOに対して同盟国全体への攻撃であり、集団自衛権の行使を求め、了承された。

 東洋の同盟国日本は作戦計画外になっているが、小泉首相は協力と支援を約束した。どんな協力が日本にできるかは不明だが、少なくとも協力を約束する前に日本国内は安全であるというべきであった。これがないままの戦争協力を日本国民はすんなり支持するのだろうか。湾岸まで出撃する米軍基地がある沖縄の安全をまず日本政府は保障すべきである。

 小泉人気に乗じて有事法制などが通りそうな気配である。憲法を変えなければ、今回の戦争で日本は何も協力できない。

 戦争がどうやって始まるのかという状況をわれわれはいまリアルタイムで目撃している。(明)(観光とけいざい第598号01年9月15日)


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