連載コラム視点599
渡久地明(沖縄観光速報社)


日本の安全を宣言すべきである

 テロの影響は沖縄を直撃している。小泉首相が真っ先にやることは、日本の安全は政府が全力を上げて保障する、と国民に約束することである。これがないために、国民の間には不安が広まっているのだ。

 テロ後の国際観光機関の対応は素早かった。別項のIATA理事長の声明、WTTCの声明などいずれも、観光産業への影響をくい止めるために、各国の政府に対策を要求するものとなっている。また、中国政府観光局当局は中国への旅行社の安全を約束するとまで言っている。

 対してわが沖縄県は県知事名で沖縄の観光は通常通りである、という間の抜けた文書を公開するのがやっとだった。県の対応としては早かったかも知れないが、あまり効果はない文書である。それは当たり前であって、軍隊を持たない沖縄県が、国民の安全を守れないのは当たり前だからだ。私は月例の記者懇談会で糸数局長に「日本政府に安全宣言を出してもらうべきだ」といった。その会議に出ていた全員に笑い飛ばされたが、何でおかしいのか私にはわからない。局長も「ホントはそうして欲しい」と明言したが、ホントはそうして欲しいというところまで認識が高まっているなら、ぜひ各方面に働きかけて実現すべきだ。

 テロの三日後、私は本紙および個人的なホームページ(おきなわ新世紀www.okinawa-shinseiki.com)で「小泉さんは米国に協力するという前に、まず日本国内の安全を保障すべきである」と書いた。今回のテロでTV、新聞で活躍している軍事アナリストにも同趣旨のメールを送ったら「私も全くその通りだと思う。これは自衛隊問題の原点です」という返事をもらった。まず、政府が国内の安全を保障するというのは軍事的・国際的な常識なのだ。

 IATA理事長は言う。政府には公共の安全を保障する責任がある。日本も同様である。安全を確保する権限が全くない沖縄県観光リゾート局やOCVBに安全かどうかを問い合わせて修学旅行を取りやめるというような愚はやめて欲しい。

 これを政府がやらないでアメリカへの協力とか自衛隊を出す出さないの議論に終始するなら沖縄県は観光リゾート局長の責任で安全を保障するしかない。これはそのような権限がない観光リゾート局にとっては酷な話だが、かえって沖縄県はそこまで追いつめられているという、強力なメッセージとして国民に伝わり、政府を動かす可能性がある。

 テロ事件は日本にとって集団的自衛権の問題ではあり得ない。自衛官から希望者を募って米軍に参加させればよい。また、装備丸ごと米軍にウェットリースするという方法で参加すべきである。沖縄基地はこのような考えに基づくものである。

 日本政府としては別にやらねばならないことがたくさんあるのだ。世界一高い航空運賃の解消のために着陸料や燃料税は即刻タダにすべきである。IATAの声明を深く読めば、ここでは復讐を求めているのではなく、自由市場を守るべきだと言っていることがわかる。無責任な官僚体制、間違った政策、疲労して使えなくなった制度、腐った特殊法人など、いまこそ日本は世界の中の非常識を一掃して、国際的な貢献を行うべきである。(明)(観光とけいざい第599号01年10月1日)  


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