連載コラム視点600
渡久地明(沖縄観光速報社)


テロリストの沖縄攻撃はあり得ない

 テロリストは日本を狙わない。ましてや沖縄をや、だ。むしろ日本の弱腰の対応はイスラム社会に幻滅さえ与えている。

 攻撃はアメリカの一極支配に対する強い警告であった。根底にあるのは文明の衝突ではあり得ない。しかもテロリストは最初から核心をついた。経済の中心と軍事の中心を攻撃した。いま起こっている炭疸菌のバラ巻きは他のグループの犯行と見るべきだ。やり方が姑息で、どう見ても同じグループのものとは思えない。

 同様に、テロの次のターゲットはやはりアメリカの中枢であり、太平洋を隔てた日本ではあり得ないし、さらに辺境の沖縄ではますますあり得ない。同様にハワイでもグアムでもない。

 沖縄の米軍基地がターゲットになるという考えは、間違いである。国家間の戦争で相手に相当な武力があれば沖縄攻撃もあり得る。この際、敵は打ち落とすのが困難なミサイルでの攻撃か、低空から進入してレーダーをかいくぐる戦闘機での奇襲になる。

 テロリストはこのような装備がない。飛行機をハイジャックしたではないかという。しかし、ハイジャックした飛行機で(もはやできない体制になっているが)沖縄のどこで自爆したら効果があるのか。極東最大の嘉手納基地ではあり得ない。米軍は平屋建ての基地・住宅に分散しており、一挙に全部を壊滅させることはできない。つまり、テロリストにとって沖縄攻撃のメリットが全くないのだ。

 さらに、テロリストは日本に対して特殊な感情を持っている。

 第一に、日本はアメリカと戦ったアジアの先駆者であるということだ。その結果、原爆を落とされて降伏したが、ビンラーディン師はこの原爆投下を引き合いに出して、アメリカの残虐性を非難している。沖縄県民が米軍とどのように戦ったかを教えてやれば、余計に攻撃は避けるだろう。

 第二に立花隆氏も指摘しているが、自爆テロを最初にやったのはテルアビブをターゲットにした日本赤軍であり、当時この行為は全くの予想外であった。同時にアラブ諸国で大変に尊敬された。その後、パレスチナで自爆テロが起こるようになるが、戦い方を教えた日本人に対する特殊な感情を醸成していると見られる。

 第三に日本人の宗教観である。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教では神様の命令が第一である。これに背くことはできない。対して日本には明治以来、キリストをマネして天皇という現人神がいたが、いまはいない。日本人はいろんな神様を拝み、御利益がないと別の神様に乗り換えたりするが、こんなに地位の低い神様はユダヤ教、キリスト教、イスラム教では考えられない。宗教的に日本人がこれらの宗教と対立しようがない。

 以上三点から現在国会で議論されている自衛隊の活用などより、もっと有効な国際貢献が日本人にはできるが、それについては別に述べる。

 第四に、これらの理由を乗り越えて、万が一テロリストが沖縄に乗り込もうとしても、世界最強の米軍とアジア最大の自衛隊が攻撃を全力で阻止する。

 以上から、沖縄へのテロ攻撃はあり得ない。

 米大統領は「政府は全力で国民を守る」と明言している。日本の総理大臣がなぜ「政府は国民を全力で守る」といわないのか。日本の軍事問題の原点はこれである。(明)(「観光とけいざい」01年10月15日)  


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