連載コラム視点605
渡久地明(沖縄観光速報社)


800万人は無理ではない

 次の十年の観光客数が問題になっている。六百万人なのか、七百万人なのか、八百万人なのかという目標である。私は千万人を見越して次の十年は八百万人を主張している。本紙新年号で私が指摘したいくつかの疑問について、さまざまな先輩方が解説してくれたので、読者にもお伝えしたい。

 まず、何で二、三年前から計画に取り組まなかったかについて。これは予算の都合であるという。報告書作成会社に仕事を発注する予算がなかった、ということのようだ。つまり、沖縄県は自分の県の十年後をどうするかといった極めて重要な問題について、報告書制作会社に任せているということである。

 しかし、十年前の第三次観光振興基本計画は企画担当者が自前で作り上げたから、十年後の今、それが無理だというわけではない。十年前の計画づくりは私もそばで見ていたからわかるが、担当者があらゆる情報を集めて自前で練り上げた。バブル最盛期であり、リゾート法の適用を受けるため沖縄県はトロピカルリゾート構想をまとめ上げており、この時は百を超えるリゾート計画があった。担 当者はそれらのアイデアを十分に吸収して報告書をつくり、リゾート法の適用を受けた。そのトロピカルリゾート構想は第三次観光振興基本計画に全部取り込まれている。

 この構想はバブルで消えてはいない。考え方そのものは今でも有効である。しかも、相当に強固な理論武装をしているので、十年後の今でも活用可能だ。だから三次計画の目標数値など一部を変えるだけでも良いじゃないか、と述べた。

 次期計画審議会では七百万人と主張したのはOCVBの饒波正之理事長一人。八百万人というと相手にされない、雰囲気だという。

 七百万人を想定すると四百室規模のホテルがあと十一カ所必要で、それは現下のような経済情勢ではムリなのではないか、という。しかし、新聞報道もなされている現在進行形のラグナの増室、カヌチャの大がかりな計画、かりゆしグループの計画、DFSの計画、名護市のマリーンフォレストなどすでに五つのリゾートが着工ないしは着工の寸前である。

 業界の実力者のところには沖縄観光が落ち込んだ今、これらとは別に新たな大型計画が持ち込まれている。私のところにもリゾート計画があるが、データがほしいという申し入れがある。その他、進出したいという話も身近に聞く。私が聞いているだけでも水面下の計画はいま述べたように三つあり、これらはいずれもこの十年以内に立ち上がる。百室規模かそれ以下の低価格志向の宿泊施設を加 えると、かなりの供給増が見込まれるのである。一方で、友人宅に泊まる人が増えるなどさらに旅行形態は変化する。

 八百万人を目指して県や国がやるべき基本的な整備を進めるべきで、民間は放っておいてもホントに実力があるプロジェクトなら必ず出てくる。低い数値を設定したからといって民間が出てこないということもないと思うが、滑走路が間に合わないといった愚を犯してはならない。せっかく沖縄へ保養に出かけようと思い立った国民に対して飛行機がとれないでは不親切である。(明) (「観光とけいざい」第605号02年1月15日付け)  


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