連載コラム視点607
渡久地明(沖縄観光速報社)


700万人に向けて山積する課題

 次の十年に観光客七百万人、との数値目標を県観光審議会が設定した。審議会ではホントは七百万人を議論したのではなく、八百万人、千万人超の数値に言及した委員もいて数値の分かれ目は七百万人以上か六百万人前後かであった。

 六百万人では余りにも努力不足の目標になるというのが、今回の審議会の意思統一に当たって大きな理由になったものと思う。

 では、七百万人以上をどのように達成するかが次の議論になる。そのための観光振興基本計画がつくられたのであり、内容にはリゾートタウンの構築、ウェルネスやエコツアー、長寿プログラムなどが含まれている。

 これらメニューは基本的に観光という大きな幹の一部分であり、根幹となるのは集客し、訪問客の消費を通じて、地域を豊かにするということに尽きる。

 この観点から沖縄観光を見ると、五百万人まで成長したとはいえ、まだまだ足りない部分がある。例えばハードウェアでは七百万人を受け入れるためには滑走路が足りない、という議論になる。

 しかしその前に、なぜ各部屋プール付きの高級ホテルがないのだろうかという素朴な疑問がある。あるいは全室スイートのホテルがない。国際チェーンのリゾートがない。あるいは逆に極端にもっと安い宿泊施設がなぜないのだろうか。そこには何らかの社会的・経済的規制があってそのような施設が作れないようになっていないか。水不足があれば解決すべきであり、土 地が高いなら高値安定に推移している原因を取り除かなければならない。高値安定の明らかな要因の一つは米軍基地である。

 電力が高いなら生ゴミ処理を利用した燃料電池の採用など再生エネルギーの活用を促進すべきである。これらのシステムは一頃に比べ相当に安くなっており、観光業界では有効である。

 さらになぜ本物の高級リゾートがないのに、サミットの時に各国政府代表団が沖縄のホテルは高いといったのだろうか。基本的に供給が足りないのではないか。対象を日本人に絞れば、年間一泊以上の旅行に出る国民は三億五千万人いるのだ。この需要に沖縄は全然着いていっていない。

 あるいは、もし、日本が週末にしか休みを取れない態勢になっていて、平日のお客が少ないことを前提に料金を設定せざるを得ないとしたら、これも社会全体の問題として取り組むべきである。あるいは、海外客を対象にしたら週末と平日で稼働率が平準化されるなら、その取組が必要である。

 海岸沿いの道路はなぜもっとセットバックして造らなかったのだろうか。このために海岸沿いの自然がどれほど破壊されているのだろうか。今からでも遅くないから海岸沿いの道路をセットバックする工事を始めるべきである。

 そして山のようにある日々のクレーム解消になぜ取り組まないのか。これらの多くは七百万人達成に向けて解決しなければならない課題であり、七百万人を達成したときには次の千万人に向けてさらに次々と課題が発生するものと思う。これらの解決によって、沖縄はもちろんだが日本全体が一層、豊かになっていくものと思う。(明)(「観光とけいざい」第607号02年2月15日付け)  


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