連載コラム視点608
渡久地明(沖縄観光速報社)


40年先を見通していたら

 先日、民主党の伊藤英成衆議院議員を団長とするネストキャビネットの一行が沖縄を訪れ、主に基地問題の視察だったと思うが、日程の中に地元との意見交換会があり、私もその場にいた。

 沖縄新法の内容などが話題になる中、観光に関して「沖縄観光は不便である。那覇空港についてどうしたらいいか分からない。適切な案内がない」「道路など必要な観光開発が行われていない」「滞在費が高い」「なぜそうなったのか」という質問が出てきた。

 これらの疑問は全くその通りで、この疑問に応えていくことが次の沖縄観光の十年に最も求められることであると思う。

 なぜ、それほどまで不評なのだろう。道路については、確かに観光開発を念頭に置いて行えば、海岸線に護岸をつくるやり方は、ビーチリゾートの進出を拒むやり方であったと思われる。しかし、これは日本全国どこでも行われた手法であり、三十年前に日本復帰となった沖縄では工事のやり方など、予算の取り方を含め政府側の手取り足取りの作業で行われたと想像される。当時、沖縄観光がここまで伸びるとは誰も予想しなかったし、自然保護の動きもまだ大衆をまきこんだものとはなっていなかった。観光を意識した開発は可能であった。

 滞在費が高いというのは前から指摘されている。これは主に海外の観光地との比較で特に強調されるようになってきた。かつて海外旅行が高嶺の花で、一生に一度は海外旅行をしてみたいものだという、時期もあった。しかし、いま、海外旅行は当たり前になって、海外旅行に出かける人が沖縄にも温泉にも出かける。ホテルの相場やサービスの質など海外の有名リゾートや国内の高級温泉地と比較することになる。

 この場合、沖縄の相場は果たして高いのか安いのか。もし高いとするとなぜか。物価は高くないか。沖縄産品を県外で売ろうとしたら輸送費が高くつくので県外で売りにくい、という話は有名で、最近は沖縄産=健康・長寿というイメージで付加価値がついているが、逆に国産の当たり前の品物は高くついていることが、予想される。そして、この原因は国際標準のコンテナ船が接岸できる港湾がなく、積替に係わる経費や荷役作業料がかさむことにある。海上輸送に関しては長く協定運賃が続いた事情もあった。

 さらに、観光施設の建設コストはどうなっているのだろう。沖縄の土地が全国に比べて高めであるというのもよく知られた話で、これは米軍基地の借地料が年ごとに必ず上がってきている点に連動している。

 また、これほど大量の埋め立てが行われるのはなぜか。塩屋湾を埋め立てるという話になっている。ある業界の重鎮はいう。「塩屋湾は沖縄の海で最もきれいなところだ。これを埋め立てるのは有力な観光資源をつぶすことである」。

 過去三十年間三次にわたる沖縄振興策が実施され、次の十年は最後の振興策であるといわれている。三十年前に四十年、五十年先を見通していれば、沖縄の今の形は全然別のものになっていた可能性が高い。今からでも次の五十年を見通して仕事を進めるべきである。(明)(「観光とけいざい」第608号02年3月1日付け)  


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