連載コラム視点612
渡久地明(沖縄観光速報社)


台風で割れた島

 南大東島の北側にバリバリという名所があり、石灰岩の山が南北に向かって割れているように見えるところがある。行ってみると高さ二十m、確かに三m程の割れ目がまっすぐ百mほど続いている。島は海底から鉛筆をたてたような構造で、地上にはドーナツ状に石灰岩の山があり、山の内側には池と畑がある。

 私は昨年十二月の台風インパクトシンポジウムでパネリストになって観光と台風に関して、五分くらい発言したが、その中で台風の通り道の南大東島は、台風時には島にあたった海の波が地上百mまで吹き上げ、その際、島が揺れる。これを体感するツアーが成り立つ、と冗談を述べたことがある。

 しかし、これは冗談ではなく、後で聞いたら台風時には島の気象台の地震計が確かに揺れるというのだ。

 そこで前々から気になっていたバリバリだが、台風で波が打ち寄せ、共振して揺れが大きくなり、ホントに島が割れた跡ではないかと考えているのだ。

 それなら、島の南側にも同様な割れ目があると予想できる。これを確かめに連休に南大東島に渡ったのであるが、島の長老によると確かに南側にもバリバリと似た場所があり、険しい地形なので地元の人でもあまり行ったことがない、という。おまけに割れ目の方向はバリバリと全く同じで島を東西に分けるように、直線がひけるという。さらに、島の地下水が西と東で全く異なる組成になっているということも聞いた。

 ある時、台風の波が繰り返し島にうち寄せ、打ち上げる波が地上二百mにも達する巨大台風が島を襲った。島は少し揺れたが、次の波がタイミング良くうち寄せ、島は更に揺れた。ちょうどブランコをこぐときのタイミングで揺れは少しの力でも共振して巨大な揺れとなり、実際に島は一メートルも揺れはじめ、バリバリと島の中央からまっぷたつに割れた。

 共振は実に様々な場面に現れる自然現象で、アメリカの最先端技術を駆使した吊り橋が共振で鞭のようにふるえて落下する事故が多発したのは有名な話だ。また、ナトリウム漏れを起こした原子炉もんじゅの場合も、測定短針が振動で折れたことが原因であると最終報告されている。

 台風で南大東島がふたつに割れた仮説を立てると、海底二千mで南大東島とつながっている北大東島にも同じ割れ目がある可能性がある。あまり話題にならないようなので、ひょっとしたら北大東の割れ目は大変目立たないものとなっている可能性がある。北大東も割れただろうと言うのは、南が割れたときと同じ波が当時の北大東島をも襲っていたと想像できるからだ。また、音叉のようにふたつの島が海底でつながっているから、それこそ音叉のように共振した可能性がある。同様に沖大東にも振動が伝わった可能性がある。

 地元の長老によると、バリバリは島の成立の頃、四千五百万年前に火山の噴火で割れたのではないか、との見方だ。しかし、それではバリバリの表面にある貝の化石の付着の説明が付きにくいと思う。

 私はもっと新しい割れ目で、しかも台風時の波のぶつかりとそれに伴う共鳴振動によって割れたと見る。(明)(「観光とけいざい」第612号02年5月合併号)  


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