連載コラム視点615
渡久地明(沖縄観光速報社)


自由貿易地域は指定保税地域と見なす

 三十年前の沖縄振興開発措置法には自由貿易地域制度が設けられている。この法律を使って企業の立地や貿易の振興をはかろうとしたのだが、今のところ失敗状態である。

 もともと復帰前に沖縄にはフリーゾーンというものがあり、ラジオや野球のグローブなどがつくられていた。米半導体大手が進出しようとしたこともあり、運営次第では確かに沖縄全体の産業振興に役立つはずであった。半導体大手が進出できなかったのは、当時の通産省が国内産業保護のため阻止したからであると伝えられている。

 復帰後、この制度が特別措置法で継続されたのは、日米返還協定で米国が行ったすべての行為の効力を日本国が承認すると約束したからだと私は見る。しかし、このような見方はこれまでにない。

 三十年後の新たな沖縄振興特別措置法にも自由貿易地域制度があり、三十年前の自由貿易地域制度と同じような条文になっている。

 新法第四十五条(指定保税地域等)には「自由貿易地域又は特別自由貿易地域の区域内の土地又は建設物その他の施設(政令で定めるものを除く。)で国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものは、関税法第三十七条第一項に規定する指定保税地域と見なす」とある。

 自由貿易地域がどんなものであるかということについて、この法律には細かい取り決めがない。したがって、沖縄県民が描く自由貿易地域をつくることは可能なのだが、実際にはそうはいかなかった。

 ふたを開けてみると、政令や通達がごっそりあって、これらにがんじがらめになり、やろうとしたことができない状態だった。自由貿易地域那覇地区ができる頃、外国から米を仕入れて製品にして出せば、当時絶対に認められなかった米の輸入ができると考えた人がいたが、認められなかった。最近の特別自由貿易地域の中でコンニャクの原料を入れてコンニャクをつくろうとした人がいたが、コンニャクの原料は輸入できないという規制である。数十品目が同様に規制されており、これらの規制は特別自由貿易地域がス タートした後、半年くらい経って政令がでた。

 貿易のプロは規制を予想していた。現に規制されており、特別自由貿易地域ができたからといってその規制が適用されないとは思えなかった。しかし、チャレンジャーにはそれが分からず、準備をしたあとに、規制が通知されたので大変な損害を受けた。自由貿易地域のコンセプトを明確にしなかったつけが回ったのである。

 しかし、よく考えてみよう。前述の第四十五条自由貿易地域では「どんなことをやっても『指定保税地域』と見なす」とも解釈できる。関税ゼロ、消費税ゼロ、ガソリン税ゼロという地域であっても、指定保税地域と見なすことにする。これなら自由貿易地域の中身は沖縄側が自由につくって、中身を宣言するだけでよかった。

 これに気がついたら、いまからでも遅くはない。自由貿易地域を新たに定義すべきである。同様に名護市の金融特区などは中身はよく分からないが、名護市やが使いやすいように、県民が望むように決めて宣言すればよい。自由貿易地域と同じ失敗を繰り返してはならない。(明) (「観光とけいざい」第615号02年7月1日号)  


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