連載コラム視点618
渡久地明(沖縄観光速報社)


国、県、地域で一斉にエコツーリズム

  小泉首相が今年になって国としても観光振興を積極的に取り入れるべきである、というようなことを国会で発言したことから、国土交通省が音頭をとり、他十二省庁が一緒になって様々な観光政策を提言してきた。

 学校の夏休みを北海道から沖縄まで少しづつずらしたり、秋休みを取り入れようというアイデアは急速にクローズアップされてきた。日本の休日がゴールデンウィークや夏休み、年末年始に集中しており、その時には旅行費用も跳ね上がる、という点が改善されようとしている。

 これまで十二省庁は「ゆとり休暇」の取得を呼びかけ、『休暇改革は「コロンブスの卵」』で十二兆円の経済波及効果と百五十万人の雇用を創出できる、と力を入れている。最近の成果に観光振興に関する副大臣会議報告があり、この中でブルーツーリズムやグリーンツーリズムエコツーリズムが頻繁に取り上げられている(本紙前号と今号に写真資料を除く全文を収録)。報告書は全国の先進事例 なども紹介しており、参考になる部分も多い。

 一方、沖縄新法の観光部分、新振計の観光部分、観光リゾート局の観光基本計画、同アクションプランにエコやグリーン、ブルー、ウェルネスにかかわる記述がたくさんある。特に、アクションプランは県庁の他部局と調整して県全体が観光リゾート政策として取り組める内容をクローズアップし、予算措置もする、といっているので今後、役に立ちそうだ。

 また、県商工会連合会が今年の報告書として観光振興の指針をまとめるが、そのキーワードもエコ、ブルー、グリーンになっている。この中で観光業界とブルー、グリーン、エコの人達の連携が少ないので、どうつくるかというところが盛り込まれれば、面白いと思う。

 さらに文部科学省も県内専門学校向けの緊急プログラムでウェルネスを取り入れた観光のカリキュラムをつくろうといっている。ここで亜熱帯気候の地球環境に及ぼす意義、海の生態、動植物、長寿と食べ物、伝統文化に対する知識など沖縄の特性といわれているものを科学的にちゃんと教えるようなカリキュラムとなれば、今後面白い展開を見せることになりそうだ。

 国、県、地域の商工会や専門学校と一斉に同じ方向に進もうとして、その中心にエコやグリーンツーリズムがあるが、これは偶然なのか大きな流れになるのか、見極めどころである。

 これまでの観光がハイウェイのど真ん中を走る観光だとすれば、エコやブルー、グリーン、ウェルネスは筋道に入るような観光と言える。このため、本気で取り組んだ企業は少なかった。今後も急速に大きな分野になるとは思えないのだが、その理由は多くの観光客がカヌーを漕いだり、山道を歩きたいわけではないからだ。

 ハイウェイのど真ん中を走る業界が本気で取り組むようになったときに、やっとこの分野が利益を出すものと認知され新規参入企業が出てくるであろう。

 しかし、エコやウェルネスは徐々に沖縄全体のパイを広げる役割は持っている。利用価値も次第に高まるであろう。(明) (「観光とけいざい」第618号02年8月15日号)  


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