連載コラム視点622
渡久地明(沖縄観光速報社)


いまこそ公共工事をしなければならない

 観光客数は十月は前年比三割増の勢いであるが、不況の影響が今後でてくると思われる。この解決には政府紙幣を発行して全国民に数十万円づつばらまけ、という解決方法があり、真剣に研究しているグループがあることを前にも述べた。この主張は極端な感じがするが、よく聞いてみるともっともな理屈と納得できる。

 われわれは極端な話しを現実離れしていると思って遠ざけることが多いが、本当は極端な話しを理解すると、その中間にある普通の話しが理解しやすくなる。

 現在の不況の要因は供給体制が万全で、いや生産体制が有り余っており、逆に需要が冷え切っているから、ものが売れず、企業は支出をどんどん減らすため、リストラ、解雇、低賃金アルバイトへの切り替え、所得の減少、物が売れない、というサイクルを繰り返している。ものが売れなくなる状態に加速がかかればデフレスパイラルということになる。悪循環が止まらないのだ。

 これを止めて、需要を増やすには、「政府が五十兆円程度政府紙幣を発行して金を生み出し、全国民に均等に配れ」「国民が消費するようになれば、景気は回復する」のである。

 大変合理的な解決策で、いよいよとなったら政府はこの政策を実行すべきであると思う。

 この視点をテコにその中間にある普通の経済理論を見ると、例えば竹中平蔵さんの「不良債権処理最優先」よりもリチャード・クーさんの「国債増刷」の方が効果が出るということになる。

 いま、国民があまり消費しない、出来ない状況がある。これは不況で先行きが不安だから金を持っておこうという心理である。実際には低所得者層は貯める金さえないから、右から左に金を使っており、金を使わないのは高所得者層である。それならば政府が金を使って景気を上向かせるというのが、いまとられるべき間違いのない政策ということになる。同時に高所得者層に消費させるための政策も必要である。

 政府が国債を発行できない理由は、すでに大きな借金があり、これ以上増やすと政府が破産する、という理屈である。しかし、日本は世界最大の債権国、国民は仕事さえあればよく働く勤勉な人達である。そして、日本の場合、政府の負債というのは誰が誰に支払うのかよく考えると、結局、国民に支払われるのである。

 一般企業や個人の借金と日本政府の借金とは意味が異なる。自分で札を印刷する権限をもともと政府は持っているからである。これを行使すればよいのだ。日本は長い歴史の中で何回もこれをやってきており、最近では明治維新の例があるが、財政は破綻しなかった。特異点という言葉がSF小説などにでてくるが、もとは数学用語で政府の借金はこのようなものにあたる。

 多くの国民が倹約して金を使わなければ、社会全体の消費額は減少するばかりで世の中は不況になる。国民は政府が金を使ってくれと頼んだだけでは消費しない。本当に景気が回復しつつあるんだ、というところまで実感しなければ、消費は増えない。それを回復することができるのは政府が支出を増やすことである。

 「国債三十兆円枠」などは最悪の経済政策であり、那覇空港の沖合展開や浦添地先のハブ港湾建設などやるべき仕事はたくさんあるのだ。(明) (「観光とけいざい」第620号02年10月15日号)  


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