連載コラム視点623
渡久地明(沖縄観光速報社)


新産業の社長らがプレゼン

 産業まつりで面白い試みがあったので、三日間、ずっと注目していた。

 県産業振興公社が企画した「ベンチャー・スタジオ(新産業創出展)」である。

 アリーナの中央にスタジオを設けて、次々にいま注目されている企業や研究機関の代表者、開発担当者が最新の成果をプレゼンテーションしたのである。

 この間、国や県の中小企業支援策、SOHOの現状、ITに関してはオープンソースの最新情報、海外進出のためのミニシンポジウムなど盛り沢山の内容で、その趣旨に添ったプレゼンテーションが行われた。

 この企画で初めて開発者とユーザーとの間のコミュニケーションが実現したのではないかと思う。

 というのも、優れた県産品が次々に開発されて、毎年、産業まつりに新しいものが出展され、販売されるが、今ひとつピンとこない部分もあったのである。優秀賞を受賞したのは分かるが、その理由はどのようなものだったのだろう、受賞理由は手短にまとめられてはいるが…。スタジオでは、開発しようと思いついたエピソードや、開発で発見した新たな成果などを直接担当者から聞くことが出 来、改めてその製品の価値が再認識されたのである。これは、旅行に例えると、上手なガイド付きの旅行なのか、とにかく一人で見て回るという旅行との違いだと思う。ガイドがうまければ、一人で回る旅行とは比較にならない情報量があり、満足度が高まる。開発者自身のプレゼンテーションはそれと同じ効果がある。

 これまでは、自社商品を会場に出展して、開発者は多少の解説を行ってはいたが、多くの人が入れ替わり立ち替わりブースを訪れるので、それぞれに数分程度の説明しかできなかった。これでは説明はどうしても中途半端になってしまう。

 プレゼンテーションのコーナーを設けたところ、開発者はプレゼンテーションソフトを使って、どのように開発したかをかなり詳しく説明した。どの顔も楽しそうに見えた。

 これらを全部取材しようとしたら、二十五社の担当者と時間を決めて、遠いところは石垣まで出かけなければならないということを考えると一カ月はかかる。わずか三日でいま最先端の企業・研究所の担当者の話しが聞けるのは大変効率がよかった。注目は天然ガスを使ったマイクロガスタービンによるコジェネ発電である。沖縄のどこからでも天然ガスがとれるといい、これが実現すると、電気 料が格段に安くできる。ついでに温泉ができるので、観光業界にとって朗報である。

 同じことは新産業分野だけじゃなく、農林水産業や観光産業の分野でも企画できると思う。いま、現場の最先端で何が行われているのか。その実態を徹底的に分析して未来予測をする、それによって他の企業や業種が経営戦略に役立てることが出きる。

 観光産業の場合、国際的にはPATA総会で、世界の先端企業の社長が最新の業界の動向、自社の取り組みを披露して毎年世界中から二千人の会員が集まる。コンピュータのトレードショウではマイクロソフトの社長やアップルコンピュータの社長のスピーチに最も人気が集まる。今回のベンチャースタジオは規模は違うにしても同じことが沖縄でも出来ることを示した。(明) (「観光とけいざい」第623号02年11月1日号)  


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