連載コラム視点627
渡久地明(沖縄観光速報社)


県内でも人気の私立中高一貫校

 かつて受験戦争といわれた受験風景がいま様変わりしている。三十数年前から受験戦争という言葉があったが、われわれの世代は受験が戦争だとは思っていなかった。大学に入ってみて医学部の連中の話しを聞いて、受験戦争というのは一部にはホントにあったんだ、と再認識したものだ。沖縄の高校教育は、かつても今も受験戦争とはほとんど縁のない世界なのだと思う。

 ところが、最近は教育現場の方が相当に変化してきた。ゆとり教育といって学校は週休二日制。総合学習の時間では学校の先生が何をやったらいいか分からないという始末だ。一方で、沖縄でも私立中学・私立高校の人気が高まっている。

 ゆとり教育を実施すると中学生の学力が大幅に低下するという指摘がある。高校も同じで、大学生の学力はがた落ちになる。このゆとり教育は間違いであると正面から戦いを挑んでいるのが、いわゆる学習塾である。

 県内のある学習塾は小学校四年から慣らし運転が始まり、五年生で六年までの教科書を終了、六年生からは中学受験専門のコースになる。六年の二学期になると毎回有力私立中学の過去の入試問題である。

 この効果はすぐに現れ、塾で勉強していると学校の試験が簡単に見えてくる。

 わたしは忘れていたが、六年生の算数などかなり高度な内容になっており、大人でも解き方が分からないような問題が頻出するようになる。無理矢理解いて答えの出し方を教えようとしたら、それはタブーであるという。小学校六年生の解き方があるので、特に算数 に関しては親がやり方を教えてはならない。

 このようにして中学を受験すると、今度は中高一貫教育で高校二年までに高校三年までの学習が終わり、最後の一年は受験勉強に徹する。このような中高一貫の私立学校が県内に三校ある。いずれも東京大学を始め国内の有力大学に合格者を出して、県立高校よりは るかに進んでいる。

 さて、問題はそれがどうした、ということだと思う。ゆとり教育がいうように、大学を出ている、出ていない、出身大学の名前とその人の評価は関係がない。しかも、学生の数が減ってきているので、大学が無試験になる可能性も出てきた。

 しかし、勉強というのは面白いもので、塾の先生によると学習時間に比例して子供は成績が上がる、成績が上がると勉強が楽しくなる、難しい問題にチャレンジしたくなる、という好循環を生み、どんどん伸びる。数百人規模で子供を見ていると、そのことがよく分 かるという。学習時間が長くなることに耐えられる体力も必要で、存分に遊んで体を鍛えておく必要もある。この状態を経験するのは良いことである。

 塾そのものも最近は独特なノウハウが集積され、子供の伸ばし方を良く知っている。受験地獄という風景はここにはないようだ。

 一方の親の方だが、このような情報の交換の場が欲しい。いま、述べたようなことを知っているのと知らないのでは子供の伸びる要素を無駄にしてしまう心配がある。世の中、変化しており、この分野では自分の子供の頃の経験は参考にならない。

 基本的には学校の勉強というのはやればできる。才能も素質も必要はない。高校卒業時点でどんな進路にも進める状態をつくっておくべきだ、とホテル業界のある先輩がわたしにいう。(明) (「観光とけいざい」第627号03年1月15日号)

 


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