連載コラム視点628
渡久地明(沖縄観光速報社)


水族館へ県民が動く

 沖縄美ら海水族館が好調である。本部町を中心に旅行客が急増している。水族館では目標以上の入館者で内田詮三館長は「平日の午前中か夕方なら比較的すいてる。週末だと人の後ろ姿を見るような格好になってしまう」と申し訳なさそうに言う。

 周辺観光施設も好調だ。水族館オープン後、木曜日を定休日にしていた海洋博公園が無休になり、単純に一日分稼働率が高まった。

 本部町は伊豆味街道に新しい店舗がどんどんでき、特にそば屋、いま時はみかんや花を店頭に並べる露店が賑やかである。

 波及効果は本部町周辺だけではない。恩納村のある観光施設は行き帰りの観光客、特に県内客の来店が激増し、ほくほくの様子である。このことは国頭村に金剛石林山がオープンすると道の駅や周辺のレストランの売上が倍増した経験から、十分予想される現象であった。

 やんばるに魅力的な観光拠点が出来ると周辺はもちろん西海岸一帯が潤う。特にいくつもの世界一を見られる美ら海水族館は水族館があるから沖縄に行こうという動機付になる強力な施設であると思う。

 本紙も水族館のオープンの記事は何本か出ているが、筆者自身はまだ入ったことがなかった。大変混雑していることを先に取材した本紙社長から聞いており、年内は満杯状態だろうと予想していたからだ。フラワーフェスタの取材のついでにあわただしく入ったが、これは後日もっと時間をとって再訪しようと思った。

 面白いのはやはり県内客の割合が当日は全体の三割前後と見えたことだ。近所の主婦らの間での話題は、生協で入場券を買うと団体割引になるとか、家族全員で年間パスポートを買う人も結構いるらしい。

 美ら海水族館の入場料は千八百円。三十人以上の団体なら千四百四十円だからかなりの割安感が出る。年間何回も入れるパスポートは三千六百円と二回の正規料金で入場するのと同じ料金である。で、二回分の料金設定が絶妙な価格と見えるのである。とにかく一度は行こう、二回行ったら元が取れる、三回目には得するという感覚なのだ。

 つまり、県民の多くが年間三回以上本部町まで出かけるきっかけを年間パスポートがつくったのである。これは画期的な出来事である。

 本部町、恩納村の観光施設は多くは県外客が対象で、県内客は十年に一回の入場を想定しているところもある。

 しかし、年間三回、県民の多くが本部町まで足を運ぶとなれば周辺観光施設へ県民が立ち寄る割合は相当に高まることが予想される。観光客は年間五百万人だが、一日当たりに換算すると五万人程度の人口になる。しかし、県民は毎日百三十万人いる。この人たちが動くと極めて大きな波及効果を周辺にもたらすことになる。那覇から水族館への交通ルートの観光施設は、水族館が話題になればなるほど自分の店への入場客が増えると考えて良い。宿泊と組み合わせれば、本部町よりもっと北の辺土岬周辺までが、カバーできるようになるだろう。これが分かれば、海洋博記念公園やその周辺ににもう一段の魅力ある施設を付加するとさらに観光客は増えると予想される。面白いことがやんばるで出来る条件が整ったと見る。(明) (「観光とけいざい」第628号03年2月1日号)

 


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