連載コラム視点632
渡久地明(沖縄観光速報社)


イラク戦争の影響で明暗

 イラク戦争の沖縄への影響を最小化する力が働いている。これが効果をあげるとイラク戦争の影響で沖縄への観光客は心配とは逆に増えることもあり得る。

 現状を見ると、三月の沖縄への観光客数は六%台の成長となった。二大航空グループは四月も四〜五%の伸びを予想、連休も落ち込みはないといい、三月二十日の開戦後も沖縄旅行のキャンセル数よりも増加する旅客の方が遥かに上回っている。

 一方、海外旅行はキャンセルが続出している。朝日新聞(四月一日付)によると、JTBの三月の海外ツアーは予約数前年比で二五%減、四、五月は三五〜四〇%減という。

 この二つから、大手旅行社、航空会社は苦戦する海外をテコ入れするのは当然として、全体の売上を国内でカバーするという方向に動くと見られる。国内全方面で旅客の底上げが図られ、特に北海道や沖縄は唯一航空会社と旅行会社が一緒になって売り上げ拡大が図れる地域であり、伸びる可能性が高い。

 九・一一後、ヨーロッパ各地では国内旅行が伸びているという。安全が確保できるからであり、日本の旅行業界もまた国内旅行にシフトするという戦略があり得る。海外専門旅行社は厳しいが、国内・海外を取り扱う大手は国内で海外の落ち込みをカバーするだろう。

 チャイナエアラインによると、イラク戦争後世界の航空旅客は落ち込み気味だが、沖縄=台北線はあまり影響がないという。台北経由で東南アジア各国、米国に向かう沖縄からの旅行は影響を受けているという。

 香港と中国広東省での新型肺炎の発生とWHOの渡航の延期勧告も東南アジア需要を落ち込ませ、沖縄に影響が出よう。

 九・一一直後と大きく異なる業界の対応として、キャンセルチャージを取らない、旅行価格を下げないという方針も大きい。テロ直後は各社のHPが、キャンセルチャージをとらないで沖縄旅行のキャンセルを認めていたが、今回はそのようにしなかった。本当はキャンセルチャージを取らないでキャンセルを認めるというのは旅行業界そのものがテロの危険があると認識したと受け取られ、キャンセルを 加速した面がある。もっとも、当時は大量のキャンセルがでて、キャンセルチャージを取るといえば旅客全体を敵に回すような雰囲気があったのも確かである。しかし、イラク戦争ではこのような動きはなかった。

 もう一つ、旅行客側にも沖縄に危険があるというのはデマであるという認識が広まったことがある。

 その後、国民の軍事に関する知識は相当に深まったと思われる。沖縄米軍に攻撃を仕掛けるテロリストや国はないであろう。

 わたし自身、軍事アナリストの先輩方から多くの情報や意見を聞き、沖縄米軍の駐留の意味について考えていた。

 結論として沖縄米軍は北朝鮮に向けられた軍隊であり、北朝鮮消滅・南北統一後は沖縄から撤退する軍隊である。そして、イラク戦争の次は北朝鮮の自壊という流れである。

 この時の沖縄をいまから描いておかねばならないと思う。膨大な米軍基地がなくなると、沖縄本島のリゾート地図は様変わりするだろう。それどころか、日本の観光業界は第二の沖縄返還とも呼べる沖縄ブームを起こすに違いない。東南アジアのリゾート地図が変わることさえ予想されるのである。(明)(「観光とけいざい」第632号03年4月1日号)

 


 |  視点633 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.