連載コラム視点634
渡久地明(沖縄観光速報社)


南北朝鮮統一のやり方

 前に北朝鮮のGDPが二兆円と沖縄県のGDP三・五兆円を大きく下回り、これでは日本に攻めてくることなどあり得ない、と述べたことがある。しかし、人口は二千万人あり、北朝鮮崩壊ということになれば、大量の難民が出て周辺国は大変だということになっている。崩壊後どのように立て直すのだろうか。

 北朝鮮の経済規模がこれだけ小さいと、東西ドイツ統一のように、なるべく早く両国民の所得を同水準にしようというやり方では二千万人の北朝鮮国民を食べさせるには、やはり、韓国が大変だろう。統一の実例は最近に限ってもいくつもあり、その内の一つは日本の沖縄統一であった。

 この統一は法律でも明らかなように沖縄県民の所得を日本平均に早く近づけることが主眼であった。このため、公共工事中心の所得政策がとられた。

 沖縄の日本復帰は一億三千万人に新たに人口比で一%にも満たない規模の統一であった。もとからあった沖縄の産業や新しく観光産業を伸ばすことによって、国の統一費用は最低限に抑えられた。さすがにこれまで同様の公共投資は難しくなったため〇二年から始まった新振計では産業政策を重視するということになっている。しかし、三十年たってみれば他の人口類似県と同程度かそれ以下の予算配分であったことを公認会計士の高嶺善包氏が琉球新報で述べている。これでは本当の復帰特別措置とは言えない。

 それでも沖縄の復帰処理はあと十年残っている。合計四十年にわたって特別措置が継続されたわけであるが、奄美の復帰措置がまだ継続中であることをみるとさらに十年伸びて全体で五十年になる可能性はある。

 もう一つの統一の実例は、中国の香港統一である。中国はまず、香港を取り囲んで経済特区を設け、それを緩衝地帯にして香港住民と中国側住民に配慮した。実際に香港が復帰する際に復帰後五十年間は香港は香港のままであるといって「一国両制」を宣言した。

 南北朝鮮の統一には中国がやったような一国二制度がお互いにもっとも衝撃が少ないのではないかと思うのである。

 南北を統一する場合、国境はそのままにして人の往来を制限する、北朝鮮の全土を韓国の経済特区にして北朝鮮自身の力で伸びる産業があれば伸ばしてやるのである。さらに韓国や国際的な投資を呼び込むなどさまざまな政策が考えられるだろう。このようにして五十年くらいかけて計画的にゆっくり南北を統一するのである。

 ただし、南北の国民が統一を望むこと、それを受け入れやすくする仕掛けは必要だ。国民感情もある。

 経済的には韓国民の所得は減らさないし、北は生活が楽になるという政策になる。これは知恵を集めれば必ず実現できると思われる。いや、そうしなければ大量の難民が発生するという心配をするばかりで、いつまで経っても南北統一は困難を極める。

 この種のプログラムはすでに米国は持っているだろう。日米開戦前に沖縄統治のプログラムはできていた。その後、日本占領と沖縄統治で実践経験がある。また、中国は香港統一とその準備で相当緻密な計画を立案した能力と経験を持っている。もちろん沖縄も統一を受けた側からの貴重な経験がある。 南北統一は政治的に相当に困難という見通しがあることは承知しているが、解決策はないの か。(明)(「観光とけいざい」第634号03年5月合併号)

 


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