連載コラム視点635
渡久地明(沖縄観光速報社)


海兵隊移転を決めるチャンスだ

 沖縄海兵隊二万人の内の一万五千人をオーストラリアに新しくつくる基地に移す、という記事が五月二十九日のロサンゼルスタイムズに出た。このニュースは大きな反響を呼び、三十日の沖縄の新聞は両紙がトップで伝えた。

 ロサンゼルスタイムズの記事に対し、米国防総省当局は検討しているのは事実、と沖縄県からの問い合わせに明快に応えている。各社が米国防総省に確認し、検討そのものは事実であることは間違いない。沖縄県知事は「大変喜ばしい。こうした風に乗るのは当然」と述べた。

 日本政府は「削減策など聞いてない」といっていたが、これはウソで実際に日米両政府で検討が始まっていることを認めざるを得なくなった。

 沖縄撤退の最大の理由はやはり、北朝鮮の崩壊を見越してのものだ。「核兵器より強力なものがある」と北朝鮮が米国にいい、「生物化学兵器か」と日本では報道されたが、韓国では「偉大なる首領様を中心にした国民の団結力だ」という解釈があり、もはやお笑いである。

 つまり、もともと朝鮮有事に即応する予定だった沖縄米軍にとって、そのような想定がばかばかしくなったというのが大きい。いる意味がなくなったのだ。

 次ぎに、小泉内閣が米国の指示通りに有事法制などを整備し始めたことがある。イラクに自衛隊をおくるとか、なし崩しに集団的自衛権が行使できるようにしたことなど、米国が求めていたことをすんなり通した。ロイターは〇六年に日本が新型ミサイルを導入すると伝え、それらの動きのなかで沖縄基地の兵力も検討される、と伝えている。この動きは橋本政権以来のものであり、橋本、小渕、森、小泉の歴代内閣が米国の指示通りの体制を作り上げたのである。これで米軍が沖縄から撤退 したあとの東アジアの軍事的空白をカバーするめどがついた。

 ロサンゼルスタイムズ記事には韓国の国民感情や日本の島(沖縄)民の感情に配慮、という意味の記述もある。これを単に米軍がそれら地域住民に恩を着せようとした発言と受け取るか、ホントに政治的にこの地域の負担軽減が必要と考えているのか、判断は分かれる。しかし、軍はあくまでも軍の論理で動き、その論理を表に出す必要はない。沖縄県民の長年の願いに応える、といって出ていく可能性はある。

 実際には沖縄駐留の意味がなくなり、狭くて行き届いた訓練ができない韓国・沖縄からは早く出ていって次のテロや戦争に備えなければならないということだ。

 日米同盟を左右するアーミテージ米国務副長官は〇〇年十月のレポート「米国と日本・成熟したパートナーシップに向けて」のなかで「九六年のSACO合意にはアジア太平洋地域全体への分散化という四つ目の重要な目標があって然るべきであったと考えている」「政治的観点からは、沖縄県民の負担を軽減することにより、我々のプレゼンスを維持可能で信頼性のあるものにすることが不可欠である」。

 「日本における兵力構成についての米国の検討は、SACO合意にとどまるものであってはならない。米国はこの地域の海兵隊のために、より広範でより柔軟な展開と訓練のための選択をすべきである」と述べた。

 この方針はテロ後もいささかの変更もないことをわたしは執筆者の一人に確認している。(明)(「観光とけいざい」第634号03年6月1日)

 


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