連載コラム視点637
渡久地明(沖縄観光速報社)


現空港で750万人まで受入可能である

 しばしば那覇空港の滑走路限界が来るから観光客数の頭打ちは六百五十万人であるといわれ、これは、沖縄県などの考えである。わたしも県当局の考えをそのまま活用して、滑走路の沖展を早期に実現すべきであると述べてきた。ただし、米国などの実例から管制能力を高めることによって発着回数は若干増えると考えていた。しかし、管制の改善で若干増えるのか大幅に増えるのか、もう少し精密に考える必要がある。この問題であまり悲観的になって、受入施設が充実しないということになれば、沖縄観光はホントに衰退してしまうからだ。

 と思っていたら、道路関係四公団の民営化で活躍している猪瀬直樹氏のHPに「空港問題を解決するために」という座談会があり、管制官OBが一本の滑走路の能力について次のような計算をしている。

 「そこで余裕をもって、三分間に離陸機と着陸機を一機ずつ処理するとしてみましょう。三分で二回ですから一時間の発着回数は六十回ではなく四十回と計算します。それから一日の運航時間についてですが、午前七時から午後十時までの十五時間と考えてよいと思います。ただ、最初の二時間は出発機ばかりだし、最後の二時間は到着機ばかりですから、早朝と深夜のこの時間帯は一時間に三十回の処理数としたほうがいいでしょう。午前九時から午後八時までの十時間(ママ)は、時間当たり四十回の発着回数にします。このケースでは一日の発着回数が百二十+四百回で五百二十回となり、年間にすると十八万九千八百回となります」

 那覇空港の限界は管制能力が現在のままで、これまで拡張が行われた他の空港の発着回数実績が十三万回程度であったから、那覇もそろそろ拡張であるという理屈だ。沖縄の場合年間二万回の自衛隊機の発着も考慮すると民間機の発着回数限界は十四万回と想定される。県試算では二〇一〇年にこの限界に達する。

 しかし、管制能力を上げるだけで県が予想する発着回数限界を三万回上回る。年間十七万回の発着回数が確保できれば、観光客数は七百五十万人まで拡大可能であり、わたしがこれまでに何度も述べてきた二〇一一年に予想される観光客数八百万人に近くなる。

 猪瀬氏によると、これまで国は発着回数限界を非常に低く想定してどんどん空港をつくってきた、これは大変な無駄だ、という。

 しかし、沖縄の場合、二〇一一年には観光客数は八百万人となる。現在の空港でも管制能力を高めればそれくらいを受け入れることができることが分かった。それでも次の千万人のために滑走路は必要であり、供用開始時期は二〇一一年であるべきだ。

 二〇一一年の観光客数目標は審議会で決まった。その際、景気は回復しないから六百万人が限度という国の委員の発言があり、対して業界からの委員は千万人、七百七十七万人などの声が挙がり、一旦は七百万人でまとまった。その後、抵抗勢力が巻き返しを図り、滑走路限界を理由に六百五十万人に落ち着いたという経緯がある。

 しかし、観光客数はこのまま行けば二〇一一年には八百万人であり、その時、滑走路もまた限界で、拡張が必要なのに違いはない。なお、オープンパラレル(二機同時の離発着が可能)な滑走路が理想的であり(日本初となる)、その時は無駄を省いてもう一本の長さは二千mで充分である。(明)(「観光とけいざい」第637号03年7月1日)

 


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