連載コラム視点639
渡久地明(沖縄観光速報社)


沖縄観光は投資に踏み切るべき

 入込絶好調の沖縄だが、人間の感覚とは不思議なもので、今年の四月頃までは「今年の五百万人目標達成は無理なのではないか」と悲観的な見方もあった。しかし、絶好調のいま六月の結果がでた時点で当選確実のムードである。

 そこで問題は滑走路の頭打ちの問題だ。滑走路限界で六百五十万人が頭打ちという計算があったわけだが、管制官OBらの計算では一本の滑走路の発着限界は少なくとも十九万回くらいあり、国が想定する十六万回前後を遥かに上回る。那覇空港なら七百五十万人までは楽に拡大できることが分かった。さらに航空会社によると、現在、那覇は中型機が主流であり、需要があればジャンボで対応し て、いくらでも供給は拡大できるという。実際、県のいまの試算は一機当たりの平均搭乗客数はわずか百人で、これを拡大すれば千万人にも対応できそうだ。

 六百五十万人で頭打ちは最悪のシナリオであると述べてきたが、その心配はなくなったのである。県や金融機関でもこれがまだ分からないので、なぜ最悪といったかを、ここで明らかにしておくと後で意味を持つだろう。次のように考えていた。

 《頭打ちが達成された後は、需要が供給を上回るので沖縄旅行の価格は上がると考えられる。

 航空会社は割引を設定する必要がなくなり、旅行商品価格は上がる。ホテルも客室料金を上げる。基本的に旅行商品に組み込まれているバスやレンタカーも値上げできるようになる。

 この時は沖縄旅行の価格が上がった場合の競争力の吟味が必要になる。価格帯での競争相手は北海道、九州、TDL(東京を除く市場)、中国、台湾、グアム、ハワイ、バリなどがある。

 海洋リゾートとしての競争相手はグアム・サイパン、ハワイ、バリ、オーストラリア、マレーシア、シンガポール、タイ、モルディブ、タヒチなど太平洋の島々がある。

 これらの観光地と競争することを考えると、需要に応じて価格を上げると人気が落ちてくる可能性がある。

 供給不足の状態でも新規参入業者が現れる。ホテルの例でいえば、経済環境に関わらず、基本的に新規ホテルは人気を集め、料金も高く設定できる。従来のホテルを手本に最も効率的・高付加価値の設計ができるからであり、お客も新設ホテルに泊まってみたいと考えるため人気が集まり、大きな間違いがない限り、成功する。そこで頭打ち状態でもホテルなど外部からの新規参入が必ずでる。

 この結果、新設ホテルに旅客がシフトした分、他のホテルの旅客を奪うことになり、破綻もでる。新設ホテルが次々にできることによって新陳代謝が進み、質の向上に伴った価格の上昇が可能になり、このとき始めて質の転換が起こる。

 頭打ちになっても、価格が上げられない状態になることもあると述べた。沖縄観光は不況下、滑走路の制限で未来の展望がない。このため受入施設の拡充は非常にゆっくりすすめられている。航空・旅行社は価格競争で東南アジア諸国と競争しており、価格を上げるといったん達成した六百五十万人から転じて減少に向かう恐れがある。この場合、六百五十万人を維持するための価格に落ち着き、 新規ホテルなどが建設された場合にその分の価格だけが上がり、その他はさらに下げるという調整に入ると考えられる。ゼロ成長の沖縄観光の仕上げにはいる…。》

 現状で千万人が可能であることが分かれば、次ぎに打つべき手は投資の拡大である。(明)(「観光とけいざい」第639号03年8月1日)

 


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