連載コラム視点640
渡久地明(沖縄観光速報社)


闇金の帝王逮捕、進むか被害者対策

 最近、闇金・高利貸しに関する事件や判決、新しい法律などが立て続けに出ている。小泉国民虐待政治がこのまま続けば、国民はますます困り、高利貸しがますます栄えるが、判決や法律は違法な高利貸しをなくす方向に動いているように見える。

 闇金融の帝王といわれる男が最近捕まって取り調べが始まった。暴力団に上納金を納めており、この男はシステム金融の創始者といわれている。

 やり方は、主婦に十万円を貸し付ける。期限に間に合わないようなら、別の金融業者がタイミング良く「融資しまっせ」と電話をかけてきて、金利が付いて十五万円支払わないといけないところを十五万円貸し付ける。さらに十五万円に金利が付いて二十万円を支払う期限近くに別の金融業者がタイミング良く二十万円まで無担保無保証で貸し付けると電話を入れる。渡りに船で二十万円借りる。実際には これら金融業者は全部裏でつながっており、誰がいついくら支払わなければならないか知っており、どんどん貸し付ける。これを十回くらい繰り返せば最初の融資十万円はすぐに百万円になる。

 借りた本人はどうしても最初の十万円が必要だったが、いつの間にか金利に金利が付いて百万円になっており、破綻。まじめな人ほど百万円を返すために親戚中を駆け回ったり、最悪、強盗を働くなど犯罪に走る、ということもある。

 よく考えたら(よく考えなくても)この人の借金はホントは十万円であり、残りは違法な金利である。しかし、別々の金融業者からそれぞれ金を借りたので、最後に借りた百万円が借金の元本であるということになる。これを組織的にやったら濡れ手に泡の商売になる。

 かつて中小企業に手形貸付をやった日榮は中小企業に対して似たようなことをした。

 百万円欲しい社長が百万円の手形を持ち込むと(一回目)、一カ月とか三カ月の期限で現金百万円を手渡す。実際には保証料や金利を天引きして八十万円くらい渡す。

 期限に間に合わない社長はもう一回百万円貸してくれと額面百万円の手形を差し入れる(二回目)。するとまた八十万円の現金を受け取るが、それに二十万円を足して、最初の手形が不渡りにならないように決済する。二回目の手形の期限が来るので三回目の手形を発行し、八十万円受取り、二十万円足して決済する。これを繰り返すと十回目には最初の百万円に対し二百万円の金利を支払ったうえにまだ 百万円の手形が残っている。元本が減らない。会社は厳しいので十一回目には二百万円の手形を差し入れ、百六十万円を受け取り、百万円は決済、六十万円は実際の運転資金に充てる。十二回目には二百万円の決済のため二百万円の手形を差し入れ、百六十万円を受け取り、四十万円をどこかから都合して決済。これを続けると実際に使った金は数百万円に過ぎないが、数年で手形の額面は千万円単位にふくら み、会社は破綻。破綻しても貸した方は保証人その他から集金できるからそれでよい、というわけだ。

 このやり方は一連の手形取引がそれぞれ独立した取引であり、最初の百万円が数千万円に膨れ上がったのではない、とされることが多かった。最高裁の判断がなかったのである。

 しかし、最近、最高裁は「借主がそのうちの一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払ったことによって生じた過払金と他の借入金債務への充当は当然」と判断した(七月十八日、第二小法廷判決)。これによって、手形貸付を受けている全国の中小企業の多くが救われると思う。

 もう一つは司法制度改正で、簡裁の民事訴訟で弁護士と同様に代理人になれるようになった司法書士の有志が「過払い金利返還、全国で一斉提訴を準備」というニュースである。全国青年司法書士協議会(全青司、盛岡登志夫会長)が呼びかけ、全国十カ所以上の地・簡栽で九月二十九日に提訴するという。

 国会では闇金対策として超高金利契約を無効にする改正貸金業規制法が七月二十五日、成立、来年一月から施行される。

 これらの動きは高利貸し・闇金の被害者救済に大いに貢献すると思うが、貸付の手口が巧妙化するだけ、という恐れはある。注目を続ける。(明)(「観光とけいざい」第640号03年8月15日)

 


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