連載コラム視点641
渡久地明(沖縄観光速報社)


経済政策は亀井氏が正解である

 自民党総裁選が面白い。当事者は命がけだから面白いといっては失礼だが、今回は関連のニュースをよく見ている。

 このコラムで何回か述べたように小泉さんの経済政策は間違いである。だから小泉以外の人が総裁になって欲しいが、いまの世論では小泉反対というとイコール改革反対、抵抗勢力と見られる。しかし、実際に小泉さんの改革とは何かといった場合、誰も分からないから不思議である。とりあえず骨太の政策の中には創造的破壊というフレーズがあるが、この経済用語は不況下では間違っているという実証研究がある。不況では創造的破壊が起こるのではなく大資本がどんどん幅を利かせてくるのである。

 このような議論は数年前からインターネットで相当徹底的に行われており、わたしも二年ほど前からいわゆる経済板に出入りしていた。

 その中から経済政策で正論を述べている政治家は亀井静香である、という結論が出ていま亀井勝手連というのがある。経済に関する初歩的な疑問に、丁寧に応えることになっているので大いに参考になる。

 しかし、経済政策に関しては相当な準備が必要で、わたし自身経済学をまともに学んだことがなかったので、教科書をコンピュータの横に置いて議論を読み、これまで二年以上の時間がかかっている。もちろんハダで感じていたものがあるので小泉さんの経済政策が間違いであることにはすぐ気が付いた。

 この議論に参加するためには本紙でも三月頃紹介した小野盛司さんのシミュレーション結果を読んでおく必要がある。日本経済モデル「日経NEEDS」で財政政策をシミュレーションしたものだ。これは経済学の知識がなくても理解できる内容である。

 モデルは世界標準のものを日経が日本向けに改良したもので、もとのモデルには数千本〜万本の方程式が組み込まれている。それを日本政府も使い、このまま税収が減るとどれだけ増税しないといけないかシミュレーションしているのである。

 小野氏のシミュレーションは逆に税収を減らさないで景気を回復させるにはどれだけ財政出動が必要かを実験で求めたのである。

 その結果、六十兆円の財政出動を五年間ブレーキを踏まずに続けると、五年目のインフレ率はたった三%、GNPは二六・六%も拡大、失業率は二・三%まで下がり、平均株価は二万八千円まで上がる。驚いたことに政府の税収が増えるから財政赤字のGNP比はどんどん縮小していくのである。

 財源は政府通貨発行か日銀が国債を直接買い取るというものである。増税ではない。

 このシミュレーション結果に対してサミュエルソンやクライン教授が激励したというエピソードは大変心強い。

 全く同じ主張をスティグリッツ教授が今年の四月頃来日して日銀や財務省に政府通貨を発行してはどうかとアドバイスすると、国内のリフレ派が一斉に大型の財政出動策に注目している。

 亀井氏は無利子で国債を日銀に買い取らせるといっている。いま、この政策が必要なのである。

 このような背景があって経済政策は亀井さんが正解であると言えるのである。変なうわさはこの際どうでもよろしい。(明)(「観光とけいざい」第641号03年9月1日)

 


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