連載コラム視点646
渡久地明(沖縄観光速報社)


景気回復なくして構造改革なし

 選挙戦の真っ最中の十月三十一日、民主党の菅直人氏を囲む車座集会があり、島尻昇事務所から声をかけられた。いい機会だからモノをいおうと参加した。

 二十人くらい集まるといわれていたが、実際には三十人になり、SP、マスコミ取材付きであった。一時間、時間があり、時計回りに全員の意見を聞きたいということであったが、菅さんが十二時ちょうどとしたら、私は十時の位置に座り、最初の三人が十分ずつ演説をしてしまい、それに菅さんがまじめに応えていたので、こりゃ、こっちまで回ってくる時間はないなと思っていたら、そのとおり時間がない。

 「最後にどうしても意見がある方」というので、私は手を挙げた。

 「小泉構造改革は間違っているのに、民主党はホントの構造改革をやるといっている。これじゃあ、小泉も反小泉の民主党も同じ間違いをやるといっているのであり、われわれは選択のしようがない。なぜ積極財政を打ち出さないのか。積極財政でちゃんと作動する経済システムを持っているのだから、これを使わない方が無駄である。先ほどから出ている年金問題も景気さえ回復すれば税収が増え、年寄りに心配をかけることもなくなる」というようなことをあわてて述べた。

 これに対して菅さんはその前の十五人から出た年金問題、高速道路無料化、憲法創憲、普天間基地問題、アメリカ追従自民党政権、保育園問題に応え、私のミサイルをよけた。関連しそうな応えは、つぎのようなものであった。

 「構造改革では私と小泉さんがいっていることは似ている。ただ一つ違うのは小泉さんは、いっているだけ。私はやる」

 これでは話しにならないと思っていたら、十一月四日のニュースで榊原英資元財務官を蔵相にする、とのことである。

 榊原氏は積極財政派と見られる発言もあり、モラルハザードが起こらないように一回限りという縛りを付けて「政府紙幣発行」も主張している。今回は間に合ってないと思うが、次回参院選では堂々と主張すべき政策である。もっとも、榊原氏は緊縮財政、構造改革も唱えており民主党が積極財政に舵を切ったとは言い切れない。

 しかし、民主党が構造改革は間違い、積極財政に転換するというのなら政権はとれるのではないか。どこかで政策を転換しなければ政権奪取できても、国民経済は衰退する一方である。

 構造改革とは「骨太の方針」によると、効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門への資源の移動ということになっている。問題なのはデフレ不況下、どこに成長部門があるのかということだ。そこでは人手が足りなかったり、どんどん投資が行われているはずだが、それは見られない。個々の企業で成長しているところがあるかも知れないが、いま好決算といわれるところはリストラや機械化・情報化で利益を出している。人出はいらない。

 つまり、ホントに成長分野に人や資源を移動しようとするなら、まずデフレを解消し、需要を増やしていまの設備では間に合わない、人出も欲しいという状態をつくり出さなければ、構造改革は行われないのである。

 将来リストラでクビになるかも知れない、給料が減るかも知れない状態で人は消費しない。積極財政なくして構造改革はないのである。(明)(「観光とけいざい」第646号03年11月15日)

 


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