連載コラム視点649
渡久地明(沖縄観光速報社)


値上げすれば質は向上する

 「観光客は増えても売上が伸びない」という経営者は多い。実際、そうなっている。理由と解決策を考えよう。

 観光客が増えているのは事実である。しかし、消費額が減少する傾向にあり、県内での行動パターンが変化している。この意味は、リピーター比率がどんどん高まっており、何度も沖縄を訪れるようになると次第に支出先が変化してくるのが一つある。

 タクシーや観光バスに乗っていた人がレンタカーになり、路線バスも使うようになり、最近ではモノレールを使う。

 さらに土産品は最初は珍しいからたくさん買うが、何度も来るようになるとホントに欲しいものしか買わなくなる。食事はスタンダードなホテルより市中に個性的な店がいくらでもあるのでそちらに行くようになる。

 宿泊施設は近年ドミトリーが流行し、駅前ホテルがどんどんでき、宿泊客が分散、同時に格安料金を提示したり、インターネットでの予約も増えてきていることから、低価格化している。

 このような変化は既存の県内観光業界の売り上げを落とす要因になる。

 一方、観光客が集中する施設もある。美ら海水族館は典型的な例である。これは施設が新しい、世界的な施設であることから入場者が集中。年間八十万人の集客拡大を目標にしていたが、実際には倍の百五十万人程度の集客を実現した。以前の水族館に比べ入場料は倍になっているから、価格の上昇と集客の拡大の二つを同時に実現した。

 リゾート施設も同様のところがあり、昨年は高級な設定の客室が先に売れたという実例がある。

 つまり、県内には観光客が増えてストレートに収入も増えるという実例がある。これと同じことさえすれば、問題は解決する。

 もう一つ、収入は増えないがコストを下げて利益を出す方法がある。これは経営コンサルタントの知恵が有効であり、売上を増やす方策も含めて個々の企業が取り組むべき経営学的課題である。

 言葉を代えれば一番簡単な増売策は「値上げをする」ということに尽きる。価格を上げれば収益は増えるのである。

 「いま値上げしたらお客が減る」って。もちろん、何もしないで価格だけ上げればそうなる。値上げするためにはホテルなら客室を広くしたり、サービスを向上させ、それに対して価格を上げなければならない。それができないというなら、利益はいつまでも出てこない可能性がある。

 しかし、現状に投資する余力がなく、それでも売上を増やしたいというなら観光客数を増やすという解決策が有効である。つまり@値上げして収益を増やすべきであるのに、それができないならAもっと観光客数を増やす、のが正しい答えになる。

 私が一貫して述べている「観光客千万人ポリシー」はなるべく既存事業者に負担をかけず、利益が出てきた段階で値上げのための投資をすべき、という極めてハト派的考えで、業界の幅広い層に受け入れられ易いと思う。そのための空港施設や道路の高度化などは公共セクターが当然受け持たねばならない。逆に観光客が増えても売上は伸びないので、設備や商品は現状のままでお客を詰め込み、価格だけ上げるべきと考えたら 政府の出番もないばかりか、観光客からもそっぽを向かれ沖縄観光は衰退する。(明)(「観光とけいざい」第649号04年1月15日号)

 


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