連載コラム視点652
渡久地明(沖縄観光速報社)


普天間再開発には景気回復政権が必要

 デフレ不況が長引き、景気回復の見通しが立たない。これに対して、大企業を中心に企業業績が回復しており、株価の上昇が見られ、十〜十二月の実質GDP伸び率年率換算で七%となったことなどから景気回復の兆しとする論評もある。

 しかし、物価の下落は続いており、デフレ下では実質GDPでなく名目GDPを見るべきで、その伸びは一%程度とわずかであり、引き続きデフレなのである。

 政府の一般会計赤字の減少は見込めない状態であり、依然として財政引き締めによる不況感は継続している。

 このまま景気を回復させなければ、ますます財政赤字が増え、年金問題など社会不安は拡大するばかりである。

 景気回復には国民全体が景気が回復に向かっていると思うことが大切であるが、そのような安心感を誰もが持ち得ないところに政治の無策が影響している。

 戦後、所得の倍増を約束した総理大臣がいて、国民が夢を持ち豊かになろう、なれると誰もが思ったからその政策は実現したのである(そのかわり物価も上昇した。所得も物価も拡大しながら、国民は豊かになったのである)。もちろん、政府は必要な投資を公共事業として実行した。

 現在、誰もが所得が増えると思っているかというと、そうでもないところに問題がある。少子化は将来不安が蔓延している結果である。

 なぜ、もう一度、所得倍増政策のようなものが取れないのか。それを実現する過程で景気回復、失業問題、少子化問題、年金問題を解決すべきなのである。

 バブル崩壊で日本国民は千数百兆円を超える富を失った。しかし、バブルの後始末は九四年頃までに終わっている。その後の不況はデフレ不況である。金利がゼロに張り付いているのに、企業はカネを借りて投資するという当たり前の行動に出ていない。物価が下落しており、名目金利がゼロでも実質金利は数%になっている。供給力は余っており、設備投資をする必要がないのである。

 需要が少ないから工場をフル操業させる必要はなく、一転、需要が上向いても工場の稼働率をあげれば製品は値上げせずに増産、供給できる態勢になっている。このように供給態勢があるのに需要が足りない状態をデフレギャップがあるという(逆に需要が旺盛で供給不足のとき価格は上がり、インフレギャップがあるという)。景気拡大が数年間継続したあとで、ホントに製造が間に合いそうになくなったときに初めて設備投資する。資金需要が出てくるのはこの時であることが実証研究で分 かっている。

 忙しくなるから生産性を向上させるためのいろいろな手を打たなければならなくなる。そして一層合理的な生産ラインに作り直そうという本格的な構造改革が始まるのである。景気は良くなり、国民所得が増えるから政府は税収が増え、財政赤字はどんどん小さくなって行く。この状態をつくり出さねばならず、それが出来ない理由はないのである。

 いま、買い手がいない状態で生産性を高める構造改革を先に進めたら、人手が余って失業が増え、生産能力は倍増してもモノは売れず、価格を下げなければ見向きもされない、というサイクルを繰り返している。一刻も早くこの状況から脱しなければ、国民の損失はどんどん増える。

 沖縄では普天間基地が返還されようとしている。すぐに大がかりな投資が必要で、もちろん政府は景気回復政権でなければならない。(明)(「観光とけいざい」第652号04年3月1日号)

 


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