連載コラム視点654
渡久地明(沖縄観光速報社)


売れる国際通りの店舗考察

 先日知人が家族連れで沖縄旅行に来たので国際通りでのショッピングにつきあった。滅多に国際通りを歩かなくなってしまったから、最近のいくつかの変化が珍しく感じられた。

 その中で特に最近よく売れているチェーン店舗のうわさを聞いていたので中に入ってみた。なるほどこれが売れるんだと瞬時に理解された。

 まず、店内がキレイであることは当たり前である。次ぎにディスプレイの工夫である。商品にはそれにふさわしいディスプレイの仕方がある。第三に品揃えが従来店舗とは異なっている点である。

 品揃えについて見ると、従来のお土産品としてつくられたものの販売ではなかった。国際通りの各店舗で共通だが、ポークの缶詰やレトルトのソーキ汁、薬草茶などが目に付く。つまり、従来県内のスーパーで県民向けに売られていたものが、土産品店で大きな位置を占めるようになっている。しかも、パッケージがキレイだったり、洒落た雰囲気の商品を中心に揃えている。これは国際通りだからできる商品展開である。だれかが連れてきたお客ではない、手数料を支払う必要がないからできる といってよい。

 逆に言うとそうでない土産品店、バスで行かねばならないようなところだと、スーパーのような品揃えで、スーパーより少し割高といった価格で販売したら全く引き合わないと言うことになる。

 次ぎにディスプレーである。商品には商品にふさわしい空間と雰囲気が必要だ。極端な例かもしれないが、一億円のダイヤの指輪を店頭には並べない。一メートル四方くらいのガラスケースの中にいかにも高級品だといって一つだけ展示する。もちろんまわりの雰囲気も高級感あふれるものにしなければならない。逆に十円の駄菓子だったらバスケットの中にドバッと入れて、つかみ取りできるくらいにしておく。つまり、商品にはそれ自身の個性があり、それにふさわしいまわりの空間や雰囲気 が必要だ。だから、扱う商品によって店舗デザインは全く異なるものになる。店舗デザインは内部からやる。ふさわしい内部ができたら外部を設計するという順序がホントは理想である。現実にはたいてい外部ができて内部をどうするかということになり、その時、内部デザイナーの腕の見せ所となる。しかし、本来この仕事は商品を扱う店主のセンスや思い入れがデザイナーに影響するものだ。

 売り出し中のチェーン店舗はこの工夫がうまい。経営者本人の工夫であると思われる。高級な商品にはそれなりの空間を用意してあげている。単価が低いものは店頭で誰にでも自由に手に取れるようにしてある。

 そして数店舗ある国際通りの店舗それぞれで、まわりの店舗をにらんで品揃えや雰囲気を随分変えていることだ。

 つまり、ごく当たり前の店舗展開、品揃え、接客を実践しているのである。そして、それが売れるのもまた当たり前なのだ。

 この店の影響ではないと思うが、同じような工夫を他の店舗も取り入れていた。ある陶器専門の店は作家の名前でシーサーの置物や茶碗など店の目立つところに置き、誰がつくったか分からない大量生産品や小物は店頭に出していた。

 このような変化は国際通りのお土産品店の質を大いに高めているといえる。非常に好ましい変化であると思った。(明)(「観光とけいざい」第654号04年4月11日号)

 


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