連載コラム視点655
渡久地明(沖縄観光速報社)


つくれば売れる沖縄物産

 いま、農業がもうかるという話しをよく聞く。畑を耕す人が高齢化し、ある島では休耕状態になっていたさとうきび畑を、島外からの移住者がタダで借り受けて耕し、島一番の収穫を実現。島民からも喜ばれているという。

 マンゴは宮古産。観光客がスーパーにマンゴを買いに来て、沖縄産ではなく、宮古産はないのかという。

 ゴーヤーは農連市場でも鹿児島産のものが売られており、事情を知らない人は形のいい鹿児島産を買って行くが、形のそろわない売れ残った県産品が本当はおいしい。

 シークワサーはTV番組で体にいいと伝えられるとアッという間に売り切れ状態。もともと畑で作っていた作物ではないといい、自生していたものが小規模に流通していたのだった。自生する山を丸ごと買い取ったという人もいる。

 この他、ウッチン、本部のタンカン、フーチバーが不足で、薬草茶の原料となる特産の植物が足りない。前号で沖縄ポッカの社長が「原料不足で農家に増産を求めている」というのはこのことだ。さらに、前々号で沖縄物産企業連合が原料が絶対的に足りない、というのもこのことだと思われる。

 沖縄では足りないのは農産物だけではない。海産物も足りない。漁師によると、沖縄県民が食べる魚のかなりの量を鹿児島の漁師が沖縄近海で操業して市場に供給しており、この人たちがいなくなったら(いなくなる心配は今のところないが)、沖縄の居酒屋は持たないという。沖縄のウミンチュはどうしているのかといえば半年働けば、一年食えるので、がむしゃらに漁に出ることはないという。

 一方で県内失業率は全国最高水準の八%前後で改善の気配がない。これに着目すると、農業や漁業で相当に沖縄の生産力を高めることができるのではないかと思う。

 農家の経営は厳しいというが、県内製造業が全量を引き取るというのであるなら、これまでの作柄から薬草茶の原料や健康食品・飲料の原料に転換してはどうだろうか。また、県内観光産業の中には農園を持っているところがある。この際、社員を増やして農園に配置、原料の生産と供給、自社オリジナル製品の製造に乗り出し、販売したら利益は大幅に増えるのではないか。観光産業なら配置転 換などで農園作業の向き、不向きのいわゆるミスマッチを解消しやすいと思われる。この方法なら農業に従事するのではなく、有力観光産業に就職するのであって、若い社員を引きつけることが出きよう。

 海でも原料、製造、販売まで一貫して引き受けることができるのは観光産業である。マリンレジャー、レストランやホテルと組み合わせてビジネスチャンスを拡大できよう。レジャー客がいないときは魚を捕り、レストランに供給、海産物の加工品を製造、自社で販売する。

 面白いのは生産しすぎても「県産原料は圧倒的に足りない」状態であり、売れ残りがないことだ。こんなにモノが売れている地域は日本中で沖縄だけだろう。

 不況の日本で希有の例である。県産品は一〇〇倍の市場を想定すべきと言う指摘は驚きであるが、当然の成り行きでもある。沖縄物産はいま、生産体制を整えれば持続的発展のサイクルに入る。別の観点から筆者は観光もこのサイクルに入ることができると見ている。(明)(「観光とけいざい」第655号04年4月15日号)

 


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