連載コラム視点715
渡久地明(沖縄観光速報社)


寒い国から学ぶ町ぐるみ暖房

 沖縄の季節変動で最も弱いのは五、六月、十二、一月である。この二つのオフを底上げするためにさまざまな手が打たれているが、最も成功したものに、プロ野球の沖縄キャンプがある。当時の沖縄県観光連盟が詳細な報告書をつくって誘致に乗りだし、七九年、日本ハムファイターズが最初に名乗りをあげ、名護でのキャンプが実現した。その後、広島東洋カープ、太陽ホエールズ、中日ドラゴンズ、オリックスブルーウェーブ、ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、楽天ゴールデンイーグルスと次々に球団が増えた。

 プロ野球がキャンプを張るほど環境がいいということで、サッカー、すもう、陸上などさまざまなスポーツキャンプが実施されている。十二月のNAHAマラソンもオフの底上げを図るため、旅行社が企画して実現したものである。

 最近ではアイススケートも沖縄でキャンプを張るところがあるという。年中アイススケートリンクが開いている県は東京や福岡など数えるほどだといい、天然のリンクができる北海道や長野県など雪国よりも練習は多くできる。そこで、スケートの夏合宿がときどき実施されているという。

 沖縄は夏は温かいので寒い地方の研究が足りなかったのではないだろうか。寒い国では温かくするためのさまざまな工夫が日常生活にいかされている。先日、取材したモンゴルは十月にはいると気温が〇度まで下がり、一番寒いときでマイナス三〇度になる。そのため、温かくするための工夫として、火力発電所からスチームを街中に張り巡らせ、建物を温めている。ウランバートルは人口百万人。四つの火力発電所から電力を供給しているが、電力と一緒に熱も供給している。

 同じことが沖縄でもできるだろう。火力発電所は基本的に蒸気タービンを回して発電するが、機械をさますために水で冷やし、温まった水は捨てている。捨てずに供給するのが寒い国の智恵だ。

 沖縄も今年の冬は温かいが、暖房が欲しいと思う時期もある。熱くなった水を捨てずに海水と混ぜて海岸に流す、あるいは海岸近くに運河を掘り人工海岸の海水に使うと、冬でも夏と同じ環境で泳げるようになる。モンゴルの例を見る限り、火力発電所ひとつで人口十万人分の暖房は楽にカバーできるのではないだろうか。

 それとスポーツと組み合わせて野球場や陸上競技場なども含めて街中を丸ごと温めると沖縄の冬はこれまで以上の、最強のキャンプ地になると思う。

 キャンプキンザーが帰ってくるとすぐ近くの発電所からスチームのパイプラインを引くのは簡単だと思われる。というか、嘉手納以南の米軍基地返還では広大なスペースが空くが、一流のスポーツ施設を整備するのも良い考えだと思う。温かくすることは沖縄は意外と盲点だったかも知れない。面白い冬場対策となり、街づくりもできそうだが、どうか。(明)(2007年1月15日号掲載)


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