連載コラム視点719
渡久地明(沖縄観光速報社)


650万人は限界ではない

 本紙前号で那覇空港が限界になると観光客数はホントに六百五十万人で頭打ちになるのか(ならない)と述べた。

 最大の理由は一日平均八十四回ある自衛隊・海上保安庁などの発着を全部民間機に入れ替えると、一日当たり四十二回の到着便を新たに受け入れられ、平均百人が搭乗しているとすると四千二百人の受け入れ増となる。八月の到着客は現状より約十三万人の上乗せが可能になる。

 昨年の八月の観光客数は約五十七万人だったから単純に七十万人の受け入れが可能で、それプラス発着間隔の詰め、夜間便の活用でさらに数万人の上乗せが可能となるだろう。

 那覇空港の自衛隊等の利用を他の飛行場(嘉手納)に移して受け入れを増やそうという前号のアイデアは米軍再編案のなかで検討されており、まったく根拠のない思いつきではない。〇四年には政府が自衛隊の嘉手納移転を決めたと全国紙が報道している。近い将来、北朝鮮問題が片付いたら嘉手納空軍も沖縄から撤退するが、いつでも使える基地として嘉手納を自衛隊に守っていて欲しい、ということだ(軍事ジャーナリスト神浦元彰氏の分析)。その場合、自衛隊は那覇空港の容量不足とそれによる沖縄経済の 崩壊を防ぐという口実で嘉手納に移りやすくなる。観光客がどんどん増えれば、日米双方にとって願ったりかなったりの状況ができるのである。

 那覇空港が限界となって、観光客は六百五十万人前後で頭打ちになるという計算は根拠はないが、米軍再編にとってよい口実になる。

 と思っていたら、地元日刊紙が相次いで県当局の試算として観光客数は六百五十万人が限界で、那覇空港の滑走路が一五年にできても一六年には八百万人程度にしか届かないという記事を経済面に出している。

 六百五十万人という数値はもう一つ別の理由で出てきた可能性がある。関空の限界が六百五十万人に近づくので早く着工すべきという方便に使われたと見ている。関空は早く六百五十万人に近づくから着工したが、那覇の需要は伸びないと試算して、着工を後回しにした。〇三年の関空着工、那覇先延ばしが決まった頃は構造改革、無駄な公共工事論がヒステリックに叫ばれており、関空と成田、羽田、那覇を同時に着工するわけにはいかなかった…。

 しかし、実際には関空の利用者数はそれほど伸びず、逆に那覇は需要予測の二倍のスピードで伸びた。関空と同時に那覇も着工すべきだったのだ。しかし、関空はすでに着工した。いまは六百五十万人限界とする理由が全くない。

 根拠のない数値で右往左往するのは止めようではないか。自衛隊等が完全に移転していれば那覇空港の容量は拡大し、観光客数は一三年頃には八百万人に近づく。そのころの新滑走路供用が最も望ましい。知事のいう一五年供用は、ぜひともあと二年、前倒しして欲しい。(明)(2007年3月15日号掲載)


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