連載コラム視点723
渡久地明(沖縄観光速報社)


沖縄のためのアジア・ゲートウェイ構想

 安倍首相が提唱するアジア・ゲートウェイ構想は最終とりまとめが公表された。本文でも詳しく述べたが、構想は沖縄振興策とオーバーラップし、まるで沖縄のためにつくられたような内容になっている。

 もし、沖縄振興策の総仕上げに大がかりな投資が必要になる場合、このくらいの仕掛けがあった方がよい。大がかりといっても日本のGDP五百兆円に比べたら大した投資ではないが、沖縄の再開発にはある程度の財政支出がどうしても必要だ。

 沖縄の再開発とは普天間基地の辺野古移転、海兵隊のグアム撤退にともなう嘉手納以南の基地返還とその再開発である。また、緊急に那覇空港の沖合展開が必要であり、物流拠点としての大深度港湾の整備、長期的には南北縦貫鉄道なども視野に入る。

 従来の沖縄振興開発計画や現在の沖縄振興計画では那覇空港の沖合展開までが射程に入っている。基地返還後の再開発については普天間の跡地について、特別に行うという閣議決定しかない。しかし、嘉手納以南が返還され普天間はその一部だと見れば、これまで沖縄県が実施したことがない大規模開発になる。この開発は沖縄振興計画終了後の話になるが、それを視野に入れてさらに十年の再開 発計画が必要だ。それには小さな構想ではなく大きな構想を持って振興策で解決できず、引き続き残る課題を効果的に解決し、持続的な発展を約束するような構想が求められる。

 それを沖縄県がつくろうとしているわけで、期待したい。もちろんアイデアも出して行きたい。

 一方、観光産業にとってこのような開発はどんな意味があるだろうか。那覇空港の沖合展開は交通審議会の航空部会で六月中にも結論が出る。年末の予算編成で那覇空港拡張が折り込まれるだろう。空港の拡張はストレートに観光産業に好影響をもたらすことになる。出来れば民間各社のホテル計画が次々に実現する一三年頃には供用開始とすべきだ。

 嘉手納以南の返還軍用地の再開発はアジア・ゲートウェイのインフラとなるのはもちろん、観光産業に対しては新たな宿泊施設や観光施設の展開の場を提供することになる。外国人客の誘致はアジアゲートウェイ構想が目指すことそのものでもある。

 観光産業は県内の若年労働力を吸収し、失業の解消に一役買ってきた。しかし、慢性的に供給過剰の状態が続き、価格競争が激化、そのことでセールスやキャンペーンが効果をあげたが、観光産業の従業員の賃金は据え置かれたままだ。今後も長期的にはどんどん観光客は増え、いつかは雇用を全部吸収し、観光客数はこれ以上増やせない状態になるだろう。

 ところが観光産業以外にアジア・ゲートウェイトいった新しい分野が急成長するなら、観光産業の品質は急激に高まり、一丁上がりとなる。(明)(2007年6月1日号掲載)


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