連載コラム視点728
渡久地明(沖縄観光速報社)


マクロが間違っている

 参院選の自民党敗北の結果について、TV討論を見ていたら石原伸晃氏が「自民党の改革というマクロの方向性は間違っていないが、個別の手法についてミクロで配慮が足りなかった」といっていた。しかし、マクロの政策こそが間違っているのだと私は考える。

 たとえば、三位一体改革で地方の財政が逼迫し、予算が組めないという問題があった。三位一体改革で経済運営が難しくなり、自治体はさまざまな事業を切り捨てた。生活保護をうち切って、うち切られた人が餓死したというニュースがあったように、自治体の財政政策は逼迫している。

 この事はミクロの問題だろうか。マクロで三位一体改革が間違っていると考えるのが、素直だ。

 あるいは先日、県のカジノ検討委員会が開かれたとき嘉手納町長が面白いことをいっていた。

 自治体財政が厳しいのでカジノの導入も検討せざるを得ない。財政政策は政府が運営するので、自治体は国政に対して何もできない。しかし、カジノ導入などを検討し、地方財政を何とかしなければならない、という。

 これも実は政府に対して発言すべきだろう。国の政策が構造改革、財政再建で突き進んでいるので長いものには巻かれて、地方はカジノを検討してはどうかと聞こえる。国の政策が間違っているなら、地方の首長は「間違っている」というべきだろう。その積み重ねが国政を動かすのではないのか。

 さらに十月からの郵政公社の民営化だ。これも民営化したら他の民間企業並みに手数料が上がったり、不採算部門を切り捨てるだろうというのは予想されていた。いま、予想通りのことが起こっており、国民にとって何もプラスはなかった。

 人材派遣の規制を緩和したら、会社は派遣社員だらけになった。いま、人材派遣会社のおかしな経営が続々批判され、裁判が始まっている。

 最初からおかしいと批判されていた構造改革路線が明らかに間違いだったということが、徐々に分かってきた。

 で、ここからが問題なのだが、参院選で自民党を敗北させた勢力というのは構造改革にノーといったのか、それとも構造改革が足りないといったのかがよく分からないのだ。

 冒頭の石原伸晃さんの発言で、マクロで間違いはないというのは構造改革が足りないという意味だと思われる。今後も一層改革をすすめ、ミクロで配慮するという政治が行われるなら、ますます格差が開き、暮らしにくい世の中になるだろう。

 マクロで正しい政策をとるのが先である。それにはこのまま行くとおかしくなるぞと主張し続け、実際その通りになったのだから、そのように述べていた政治家や経済学者を復権させることだ。この人達の唱える経済政策を行うことで日本はデフレから脱却し、失われた二十年を取り戻すことができる。なぜそれを早くやらないのか不思議である。(明)(2007年8月15日号掲載)


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