連載コラム視点729
渡久地明(沖縄観光速報社)


整備ミスか設計ミスか

 チャイナエアライン事故の記憶が急速に薄れつつあるが、事故原因について気になっていることをいくつか記録しておきたいと思う。

 事故原因としてボルトがはずれていたことが分かったが、なぜはずれたかというと、ワッシャーの付け忘れということになっている。

 これが整備ミスではないかという根拠になっていて、あるべき部品が脱落していたのに気が付かなかったのは確かにミスであるといえる。

 ところが、事故原因部分のボルトとナットの構造のミスもある。ボルトを通す穴がよりもナットの直径が小さいというのだ。小さいから穴をすり抜けないためのワッシャーなどの部品があったということだが、基本的にはナットそのものが穴をすり抜けない大きさでなけれエバならないはずだ。

 わたしも機械工作は好きであるが、穴より小さいナットを使って工作し、ナットが小さいからワッシャーをかませるというのは、部品がなくてどうしようもないときは別としてやったことはない。

 航空機の場合、いったん事故があれば人命に関わるのであるから、ワッシャーの付け忘れも想定した設計とすべきであったはずだ。

 さらに燃料タンクにボルトが突き刺さった写真が公開されているが、2リットルのペットボトルの半分くらいのタンクの一部であることが分かる。このような出っ張り(引っ込み)がなぜ翼の中にあるのかも不思議だ。1リットルくらいの燃料を余分に積むためにこのような出っ張り(引っ込み)をつくる必要があったのだろうか。ここで出っ張りとか引っ込みといっているのは、写真や記事を見 る限り、このペットボトル状のタンクの内側に燃料があったのか、外側にあったのかがよく分からないからだ。いずれにせよ、ペットボトル状の構造になっていたのは事実であり、それにボルトが突き刺さるほど狭苦しい設計にしたのはおかしいと思う。

 こういう疑問を当初から持っていたのだが、事故を取材していた記者に聞いたところ、もっともな疑問であるという。そして、航空機事故で原因不明なものがいくつかあるが、沖縄の事故で明らかになった原因を想定したら筋が通るというものがあり、今後の成り行きが注目されるという。単純なワッシャーの付け忘れがあったのは事実だろうが、その奧には機体の構造、細部の設計ミスに由来す る原因が隠れている可能性がある。

 ボーイング社はいち早く構造上の問題はなかったという声明を発表した。しかし、同型機では引き渡しを受けた直後の機体で、同じようなボルトの不具合が見付かっている。製造段階でのミスあったと見らている。

 果たして、事故調はこの問題に踏み込んだ報告をするのか。単なる整備ミスとするのか。非常に興味深い。(明)(2007年9月1日号掲載) (航空・鉄道事故調査委員会のHPでは、2008年3月1日現在、事故の主たる原因は「調査中」になっている。)


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