連載コラム視点731
渡久地明(沖縄観光速報社)


住民検診と人間ドック

 マイケルムーア監督の話題の映画「シッコ」にはアメリカが医療改革のおかげで世界一医療費が高くなったことが暴露されている。不思議なことにアメリカの医療保険制度は世界でも珍しく、驚くほどひどいものなのに、国民は全然それを知らない。アメリカの医療保険は全て民間である。全米で四千七百万人が医療保険に加入できず、加入している人でさえ、大けがや難病にかかった際は保険会社が治療法を指示する。受けたい治療に対して保険会社が「ノー」というのが頻繁に起こっている。

 医療保険に入っていなければもっと悲惨だ。毎年一・八万人が保険がなく、治療が受けられずに死んでいる。

 ところが、イギリスやフランス、カナダでは医療費はタダ。イギリスでは病院に行ったら交通費まで患者に支給されている。フランスでは救急往診制度があって二十四時間医師が車を運転して患者のもとに向かっていた。で、医療水準は低いかというと、そんなことはない。映画の圧巻は喉元の社会主義国キューバだ。九・一一テロの救助活動でホコリやガスを吸い込んでその後体調が悪くなった消防士ら。まともな治療が受けられないならとムーア監督は消防士らを連れてキューバを目指す。キューバに渡ると外国人なのにダダで治療が受けられ、同じ薬がアメリカよりはるかに安く提供されて全員が感動の涙を流す…。

 世界各国で医療費がどの程度使われているかを見ると、先進国のアメリカの医療費は世界一だ。市場原理に任せた結果、医療・保険業界が大いに儲かったというだけだ。

 日本も同じ方向に進んでいる。公的医療費はどんどん削られ、個人負担が増えている…。

 と考えていたら那覇市健康管理サポートマガジン『がんじゅう』という雑誌をNPO沖縄県健康管理士会のメンバーが届けてくた。話しを聞くと、那覇市もどんどん医療費が減らされているが、住民検診の予算は充分にあるという。

 ところが受診する住民が少ないため、予算を消化できず、このままでは二〇一一年に那覇市にペナルティーが課され、保険料がアップすることになるという。だから、受診対象者はどんどん受診して欲しい(そのための啓蒙雑誌をつくっている)。住民検診の受診者は少ないのに、全額自己負担で高額となる人間ドックにはいる人は多い。人間ドックも住民検診も見つけられる身体の異常はほぼ同じで、住民検診はタダ。「はるかにお得です」とのことだ。

 受診対象者は国民健康保険の加入者と社会保険加入者の家族(本人は企業が行う定期健康診断の対象)で、那覇市健康増進課に電話(862‐9016)すれば名前と住所、生年月日を伝えるくらいで「住民検診のお知らせ」が届けられる。自己負担なしで、人間ドックと同じような効果で、受診者が少ないと保険料が上がるというなら、このような制度は徹底的に活用した方がよいと思う。(明)(2007年10月1日号掲載)


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