連載コラム視点734
渡久地明(沖縄観光速報社)


消費税増税は間違いである

 政府税制調査会(首相の諮問機関)が十一月二十日の総会で、社会保障の安定財源を確保するため、消費税率を引き上げる答申を取りまとめた。

 一方、福田康夫首相は来年の消費税引き上げには否定的だ。

 筆者は来年どころか、将来にわたって引き上げは不要であり、逆にいまは引き下げが必要であると考えている。

 政府税調は「このままでは」社会保障の財源が不足するので、消費税を上げるべきという分かりやすい話をしている。

 ところが分かりやすいというのがくせ者だ。第一に「このままでは」という論の立て方が間違いである。「このまま」の社会情勢はみんなゆでガエルになってしまって気が付かないが、極めて異常な状態である。

 金利がゼロに近く、GDP成長率もせいぜい一とか二%、給料は毎年下がり、貯蓄がゼロという家計が増え続けている。失業率は四%台と発表されているが、真の失業率(最も雇用状況がよかった九二年の就労率六四%を基準に、非自発的失業者数を逆算して求めた失業率)は倍の九%を超えている。

 この中で消費税増税を結論した政府税調というのはいったい何なんだ。

 とはいえ、社会保障費を減らすわけには行かない、どうするのだということになる。これについては世界の当たり前の政府は経済規模を拡大させることで、社会を富ませ、それによって自然に税収が上がるので財源ができるということをやっている。日本もこれをやるべきなのだ。

 このコラムでは何度も批判したが、竹中平蔵さんは「政府が先進国平均の四、五%の経済成長を実現できないことがおかしい。先進国で最低のドイツの三%台の成長にさえ日本は届かず、二%台という成長率は経済運営のパフォーマンスが悪すぎる」(筆者の記憶)というようなことを十月二十八日のTV番組・サンデープロジェクトで述べていた。論点は内閣府が十月十七日の経済財政諮問会議で示した社会保障三分野の将来試算と消費税増税に関するものだった。読売新聞記事では「竹中氏は、日銀が緩和的な金融政策を取り名目成長率が三%程度となる場合を想定し、『消費税をほとんど上げなくていいはずだ。(内閣府試算は)それよりさらに低い前提で議論している』と述べた。また、一一年度以降の歳出削減が考慮されていないとも指摘した」(十月二十八 日付け、電子版)となっている。

 この部分だけ切り取れば、竹中平蔵さんの発言が正しい。筆者は三%でもまだ低いと考えるが、政府・日銀の経済運営が失敗しているという方向性には同意できる。

 カネがないから国民から税を巻き上げるという政府税調の考えは、極めて幼稚である。政府の失敗にほおかぶりして、国民にケツを拭いてくれといっているのと同じで、本当に情けない。(明)(2007年11月15日号掲載)


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