連載コラム視点737
渡久地明(沖縄観光速報社)


不思議なブラウンガス

 水を電気分解したら水素と酸素ができる。二つの気体を混ぜて火をつけると爆縮(体積が縮む)するが、水素と酸素を混ぜただけでは安定した状態である。この混合気体を開発者の名をつけてブラウンガスという。

 このブラウンガスは面白い性質を持っていて、細くノズルから気体を噴き出して火をつけると、ガスバーナーのように燃える。しかし、炎を手に当てても熱くない。一方、バーナーを金属に当てると、その部分だけ猛烈に温度が上がり、たとえば百円玉の真ん中だけ、トロリと溶けて穴があく。バーナーを吹き付ける相手によって燃焼温度が変化するのだ。

 水素は身近な気体であり、高校の理科の実験でも水素をつくり、燃やすということを多くの人が経験している。ところが、水素の振る舞いは精密には分かっていない。扱いづらいため、ほったらかしにされてきた。

 ブラウンガスの話を聞いただけではマユにつばを付けたくなるのではないだろうか。しかし、動画を集めたインターネットサイト・ユーチューブで開発者ブラウン博士の実験の様子が公開されており、わたしは本物だろうと考えている。

 ネットを調べると(杉岡幹生氏のHPが参考になる)、日本では大阪大学のシンポジウムなどでブラウンガスについて触れられている。しかし、ごく少数を除いて、本格的な研究は行われていないようだ。

 原油価格が百ドルに近づくと、石油に変わる燃料として、植物由来のバイオ燃料が注目されてきた。その結果、世界中でバイオエタノール、バイオディーゼルの人気が上がり、サトウキビやトウモロコシからのエタノールづくり、菜の花などからのディーゼルオイルづくりが流行している。そのとばっちりで食べ物の価格も上がって、困ったことになっている。

 燃料の価格が上がって、原子力発電に再びスポットライトが当たるようになった。同時にブラウンガスや水素エネルギーにも関心が集まっている。現在のところ水素を燃料として実用化している典型例は宇宙ロケットだが、特殊な用途だ。水素エンジン自動車はすでに実用段階に達しているが、水素を作る過程で電力=石油を食うので、普及はいま一歩だ。

 もし、水素を安価に製造する方法を見つければ、第三のエネルギー革命が起こる。

 ブラウンガスは燃やしても二酸化炭素は出ない。クリーンなエネルギー源である。原子力発電が結局のところ核分裂反応でできた熱で水を沸かし、水蒸気でタービンを回して発電するという原理だった。原子炉の変わりにブラウンガス燃焼炉ができるだろう。  原料は無尽蔵にあり、一家に一台ブラウンガス炉が普及すると面白い。水素自体にまだまだ解明されていないいろいろな可能性がある。かなりの変人らしいが、存命ならブラウン博士を沖縄大学院大学に招いてははどうか。(明) (2008年1月15日号掲載)

<インターネット版の追記>杉岡氏のHPは下記。

「21世紀物理学の新しい公理の提案」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/index.htm

 この中の「常温核融合は本当だった!」のシリーズに常温核融合、ブラウンガス、生体内核変換などの話題がある。(08年1月20日)


 |  視点738 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.