連載コラム視点740
渡久地明(沖縄観光速報社)


需要予測を上回る那覇空港の利用者

 那覇空港の総合的な調査が終わり、滑走路増設の構想段階に入った。今後は@増設案を一つに絞り込み(再びPIの実施)、A具体的な施設設計を行う。B設計終了時点で事業の評価と採択が行われ、C設計段階(および環境アセスなどの手続)、D工事段階となる。  那覇空港の増設は二〇〇二年十二月の航空分科会答申でGOサインがでる予定だった。ところが、前年に構造改革という意味不明の政策を掲げた首相が登場し、無駄な公共工事をやめると言ったことから、ホントに必要な公共工事まで影響を受けた。那覇空港増設は、構想に入るのに五年遅れとなった。この五年は痛い。

 那覇空港の需要予測では沖縄観光の伸びが低いものに抑え込まれ、一〇〜一五年度の間に夏場の需要に応じられなくなる、ということになった。筆者はこの需要予測が低すぎるとして批判してきた。

 需要予測は、那覇空港の旅客数は年間最大二・五%程度しか伸びないと見ている。〇四年度の旅客数千二百八十一万人を発射台に、一〇年度が千四百六十一万人、一五年度が千六百五十五万人と予測している。

 ところが、旅客数は〇五年度に千三百六十七万人、〇六年度に千四百五十万人と伸び、一〇年度の予測まであと、十一万人に迫ったのである。〇七年度はまだ結果がでていないが、〇・七%伸びるだけで一〇年度の予測を上回る。現実に、〇七年暦年の国内と海外の空路客は二・七%増となった。那覇空港の発着客数も二・七%伸びたとすると、千四百九十万人となり、一〇年度の需要予測を三年前倒しで二十八万人前後も上回ったことになる。  筆者は沖縄観光客数は毎年四・五%で伸びると予測している。この予測は九八年に公表しており、このときは千万人到達は一六年であると述べた。(構造改革やテロという二つの足かせのおかげで千万人到達は一八年まで遠ざかった)。

 なぜ、政府の需要予測はこれほど現実にあわないのだろうか。その答は毎日のテレビを見ていると分かる。何も分からないタレントや評論家が出てきて、政府の需要予測は大きすぎて無駄だと十年以上にわたってネガティブキャンペーンを続けているのである。すると、情けないことに予測する側も委縮しきっているのだ。

 思い出して欲しい。沖縄自動車道ができたとき、誰が今のような渋滞の発生を予想しただろうか。空港に限らず沖縄の場合、道路も予測を上回って需要されているのではないか。  日本経済は成長しないという迷信がまるで常識のようにはびこっているが、これではまともな那覇空港の需要予測などできない。空港が増設できないと第三の足かせになり、この間の損失は、空港の建設費を遥かに上回る可能性がある。一刻も早く着手し、工期も劇的にちぢめて、遅れを取り戻すべきだ。(明)

(2008年3月1日号掲載)


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