連載コラム視点741
渡久地明(沖縄観光速報社)


沖縄観光、今後も伸びるシナリオ

 沖縄観光を取り巻く最近の動向が面白い。〇三年頃から国内・外国資本の沖縄参入が目立つが、これは金利が安い円を活用したものだ。日本は〇三年に円安にするための三十五兆円ものドル買い介入を行い、そこに供給された円を手に入れた、いわゆる外資が日本市場に入って、比較的安かった株や不動産をどんどん買ったものと見られる。

 一方、長期にわたる日本のデフレ(名目GDP成長率がほとんどゼロかマイナス)をよそに、世界は名目五%以上成長した。日本人の賃金が上がらなかったかマイナスになったのに対し、世界は十年で給料が二倍近くに増えた。香港の一人当たりGDPは沖縄県民の一・五倍になっている。

 世界から見ると、日本は物価が安くなり、旅行しやすくなった。いま、円が一ドル九十円台となり、円高が話題になるが、インフレで価値の下がったドルに対して、八十円でもまだまだ安いといわれる。

 今号の記事にあるように香港直行便が四月から開設されるにあたって、香港エクスプレスの営業本部長は「アジアの観光客を日本にもたらす」と発言した。香港政庁の日本代表は「沖縄=香港の貿易は沖縄側の大幅な輸出超過だが全く気にしていない」。前号ではマカオ観光局も「(マカオの航空会社に)沖縄直行便を要望している」と述べている。

 八〇年代から九〇年代初めまで日本の物価は世界一で、外国人観光客が日本に来るのに障害になっていた。あれから二十年、凋落した日本の物価は成長する世界から見るとかなり安くなった。

 もう一つ大きな潮流として、JTBがまとめた二十代若者の旅行動向がある。沖縄観光は二十年前、世界中に出かける二十代の若者、特に女性の動向に左右されるといわれていた。いまでもその傾向はあると思うが、当時とは様変わりで二十代の若者の海外旅行が減少して、代わって費用の安い国内旅行が人気となっている。もし三十万円程度のお金があれば、一番に海外旅行に行きたい、という。

 ここまできたら沖縄観光は今後も安泰なのではないかという結論が出そうだ。日本が凋落するおかげで、外国人客はどんどん日本を訪れるだろう。北京オリンピックが無事に終われば、中国人観光客が大きく動くいわゆるアジアの観光ビッグバンがさらに進む。

 国内では海外に行かなくなった国民、特に若い層が沖縄を目指す。九六年から九九年頃までの沖縄観光は目を見張る伸びを見せた。このとき「なぜ日本は不況なのに沖縄は伸びるのか」と問われて「不況だから海外を敬遠して沖縄が伸びた」と説明していたことがある。同じことがまたくり返されているのかも知れない。

 しかし、本来は日本が世界とともに拡大するなかで魅力的な沖縄をつくり、世界の観光地と勝負するのが筋だと思うのだ…。(明) (2008年3月15日号掲載)


 |  視点742 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.