連載コラム視点742
渡久地明(沖縄観光速報社)


全国に比べると良好だが…

 航空各社の〇七年度旅客実績がそろそろ出る頃だが、〇八年二月までの全国の実績を見る限り、JAL、ANA両グループの旅客数は前年割れ、SKYは目覚ましく伸びた。三グループ合計では二・三%減と不振だ。

 これに対して沖縄=県外線旅客数は一・七%増となった。全国との差は四・一ポイントあり、比較してよく伸びた、いや、相対的に絶好調だともいえる。

 沖縄の場合、海外路線が二月までに約二倍に増えた。結果、観光客全体では三・五%増と健闘している。

 数値を見る限り、よい実績を出している。中身はどうか。観光業界の動向について、四月一日付の日銀の三月期県内企業短観を見てみよう。

 現況について県内全産業のDIはマイナス四となった。マイナスとなったのは一年半ぶりで、良くも悪くもないというところが多いとはいえ、「悪い」とする企業の割合が増えた。

 観光産業を反映すると思われる飲食店・宿泊業のDIを見ると、プラス一八となっており「良い」とする企業の方が多い。しかし十二月時点のDIがプラス四六とかなり良かったのに比べると「悪い」と判断する企業が急速に増えた。先行きの六月期は一層悪化を予想するところが増え、プラス九となる。

 飲食店・宿泊の全国の現況は大企業がマイナス一五、中堅企業がマイナス一〇、中小企業がマイナス三〇とかなり厳しい状況だ。全国に比べると沖縄は異常によいと判断されよう。

 数値が続いて申し訳ないが、JATAの旅行市場動向調査とJTBのGWの動向も最近出た。

 JATA調査では国内十四の方面別現況で沖縄がプラス二八とダントツの売れ筋。六月までの先行きもプラス二〇でトップである。海外旅行が減少し、国内へのシフトが見られる。その中で異文化、自然といった魅力がある沖縄は好調だ。

 JTBのGWの動向でも全国十一の旅行先のうち沖縄へ行く人が四・二%で、前年より〇・一ポイント増えている。また、海外旅行は一四%も減少する。

 これら数値を見ると、デフレ下で消費金額が減少する中、沖縄の観光産業は人数が増えている分、マイナス成長の全国に比較して突出して良好であるということになる。全国の旅行産業の注目をますます集めることになり、売れるところを売ろうという動きになる可能性もある。

 県内業界は人件費、経費を絞って収益を確保しているというのが現状であると思われる。しかし、余裕はない。国内観光客の伸びはわずかであり、一通り体験したリピーターの消費単価は低迷している。この状態を受け入れ側が打ち破る必要がある。

 一方、国民の旅行意欲は高いが、デフレという社会不安がある。もっと勢いよく伸びる状態をつくることが本筋であり、それには大規模な減税政策など送り出し側の活性化も必要である。(明) (2008年4月1日号掲載)


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