連載コラム視点743
渡久地明(沖縄観光速報社)


大田大臣と宍戸名誉教授の公開討論

 政府の経済運営が間違い続けていると述べてきた。景気の変動には様々な要因があるが、考えられるあらゆる要因を組み込んで経済モデルをつくり、コンピュータでシミュレーションするという方法で、現実経済の動きをかなり精密に予測できる。そのようなモデルは民間・政府を問わずいくつもの経済研究所や研究機関が活用している。市販のソフトにも有力なものがあり、日経NEEDSやエコノメイトといったものがよく活用されている。

 政府も独自にモデルを持っていて、現実経済を精密に予想できる優れものだ。

 経済モデルがやっている内容は複雑に見えるが、実際には誰もが認める当たり前の理論と前提から出発するから、出てきた答えもまた当たり前ということになる。

 経済学の教科書では円高になると輸出企業が打撃を受けるので日本経済全体にとってマイナスと教える。ところが、最近、企業は円建ての貿易を行うようになったので、円高はプラスという説もあり、証拠を挙げて論証する人もある。ところが、コンピュータシミュレーションでは円高はやはり日本経済全体にとって損だという計算結果がでてくる。この結果から、一部輸出企業が円高でトクをするケースがあるにせよ、やはりいまの日本では円安がよいと結論される。同様に、金利を上げると個人の金利収入が増え、消費が拡大するというもっともらしい理屈もシミュレーションで退けられる。

 消費税を値上げして政府の財政を立て直すというアイデアも残念ながら全然間違い。消費税はゼロにした方が日本全体の消費が拡大し、景気は回復に向かうのである。

 円安、利下げ、消費税ゼロという政策はデフレ不況のいま、最も有効な経済政策なのだ。それどころか積極的に公共工事を増やす、消費税以外の社会保険料などの国民負担をいったんゼロにする、あるいはアメリカを始め世界中で行われているようにカネを国民に配って消費を増やすという政策で、景気はみるみる回復することも分かっている。景気が回復すると累進課税制度の日本では税収は財政支出を上回って急拡大するため、配ったカネは数年で回収される。

 政府支出を減らす構造改革とは逆の政策こそが不況脱却、財政再建、国民を豊かにするための本当の構造改革だったのだ。

 景気対策について、三月十四日の予算委員会で、面白い提案が出た。自見庄三郎参議院議員(国民新党)が経済モデルによるシミュレーションの第一人者で、筑波大学の宍戸駿太郎名誉教授と大田弘子経産大臣の公開討論会を求めた。大田大臣はいったん拒否したものの、福田康夫首相が英知を集めたいと受け入れた。日本でしか通用しないようなおかしな経済理論でなく、国際的に通用している理論とそのシミュレーション結果を政府は採用すべきである。(明) (2008年4月15日号掲載)


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