連載コラム視点745
渡久地明(沖縄観光速報社)


バカな増税派とアホな成長派

 国政の党首級が沖縄入りして、県議選を盛り立てている。六月八日投開票の県議選の争点は後期高齢者医療制度である。

 これは姥捨て山そのものといっていいだろう。貧乏な農村で働けなくなった年寄りをむかしは山に捨てたという話だが、いまは政府が貧しくなったので年寄りを切り捨てるというものだ。

 ところが日本はホントに貧しいのだろうか。医療費が増えるとホントに国民は困るのだろうか。答えはノーだ。医療費が増えるということは、国民が支払った税金や保険料が支出となって世の中に出てくるということであって、国民経済にとってプラスである。

 問題は医療費が増えるなら他の政府支出を減らす、あるいは必要な医療費を抑制しなければならないと考えるところにある。つまり、日本が貧しいのではなくて、政治家のおつむの中が貧しいのだ。

 この解決に新聞やテレビでは増税と成長のどちらがよいかという問題を立てているが、これはやらせだろう。

 増税派は自民党前官房長官の与謝野馨氏、政調会長の谷垣禎一氏、民主党は元代表の岡田克也氏が消費税を上げるといっている。ところが、消費税を拡大すれば余計に景気は落ち込むから、間違った政策である。政治というのは国民を豊かにするのが第一の仕事であって、国民を痛めつけて(負担を増やして)、財政を立て直そうというのは本末転倒である。

 一方、成長派は竹中平蔵氏や中川秀直氏らだ。GDPを拡大して税収の自然増を図り、財源を増やすといっている。もちろん成長派の主張が正論である。しかし、どうやって成長するかについては、無駄な財政支出を減らし、規制を緩和し、企業の競争力を高めれば成長するというおかしなものである。

 これは、改革なくして成長無し、という小泉構造改革そのものである。戦後五十年余、小泉政権以前の政府の借金が約五百兆円だったのに対し、〇一年からのたった八年間の小泉構造改革で三百四十兆円も増え、いまでは八百四十兆円となった。構造改革がいかに間違った政策だったかが分かるだろう。

 結局、デフレ不況下で政府が支出を削ると猛烈なスピードで赤字が増え、増えた分を消費税で埋めるというのがバカな増税派、いや、もっと支出を削減すれば景気は回復するというのがアホな成長派である。

 これに対して、日本のバブル崩壊と似たような局面に遭遇し、緊急経済対策を行って政府支出を増やし、潰れそうな金融機関に素早く公的資金を導入し、景気の落ち込みを最小限に抑え込もうとしているのが、アメリカだ。景気が回復すれば将来の自然増収で釣り合いはとれる。

 日本では国民新党が同様の緊急経済対策を提言している。正論をはいているのは間違いないのに、あまり人気がないのが残念だ。(明) (2008年6月1日号掲載)


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