連載コラム視点746
渡久地明(沖縄観光速報社)


風力発電と電気自動車社会

 オイル価格がニューヨーク先物で一四〇ドル前後と高騰しているおかげで、代替エネルギーに注目が集まっている。火力より発電原価は安いのに不人気だった原子力が見直されることになろう。

 つい十年前にはオイル価格は一五ドル前後で、風力や太陽光発電などの再生エネルギーはコスト面で割に合わなかった。オイルが六〇ドルを越えれば再生エネルギーも十分モトがとれるようになる。

 さらに面白いのはこれまで不思議と出回らなかった電気自動車が、来年あたりから普及する気配があることだ。ガソリンが要らない電気自動車を風力発電で充電して動かすと、オイルは使わない、余計な二酸化炭素は出さないなど、いいことづくめだ。

 風力発電は風次第で出力が一定しないため、コンピュータやその他の電気機器に直接、電力を供給するわけには行かず、電力会社の系統に組み込む。または蓄電池に充電し、蓄電池から安定した出力を取り出すやり方もあるが、それでは建設コストが上乗せになる。しかし、電気自動車なら、もともと蓄電池で走るのだから、風力で得られた品質の悪い電力で充分である。電力会社に電力を売るよ り、電気自動車の電源として活用した方が得になる可能性が高い。

 現状で電気自動車は、家庭用のコンセントで一晩充電して百数十キロ走るというが、技術革新はどんどん進むだろう…。

 電気自動車は変速機なども不要でガソリン車より少ない部品で動く。スピードも最大百キロくらい出ればよいだろう。市街地では、道路の混み具合に応じて、自動的に最適なスピードで動くようにできる。いったんナビゲーターで目的地を入力すると、自動操縦で到着できるようになる。もちろん手動制御で好きに走ってもかまわない。

 主要部品が安くなると、電気自動車メーカーはシャーシとモーター、タイヤ付程度の最小限のスケルトン車体を売り出すようになるだろう。車の内装・外観は好きなパーツを取り揃えて家庭でも組み立てられるようになる。

 車を軽くするために木造の電気自動車も流行るだろう。沖縄ならクバの葉を編んで屋根にする。涼しい車ならクーラーも節約できる。離島や観光施設内での使用なら、これで十分だ。

 心臓部の蓄電池などいくつかの部品だけ大手メーカーから取り寄せて、沖縄の風土に合わせた木造・漆塗りのボディー、座席などを組み合わせる高級県産自動車メーカーが成り立つようになるだろう。

 県民のライフスタイルも様変わりする。郊外の会社の駐車場には充電用の風力発電が完備する。

 風力パーク付のレストランや観光施設が常識になり「充電一時間無料」といったサービスが流行る。週末には家族で風力パークのあるホテルに泊まり、一週間分の充電をすませる…。

 これくらいはすぐに実現可能だと思う。(明) (2008年6月15日号掲載)


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