連載コラム視点748
渡久地明(沖縄観光速報社)


米政府と金融当局、必死の景気浮揚策

 不動産のゼファーが民事再生手続の開始を東京地裁に申し立てた。県内に十二のプロジェクトを展開中で、筆者も豊崎の「TOMITON」にはよくラーメンを食べに行っている。工事中の案件もあり、それらについては完成まで進むと思うが、売却を検討しているという。一時的にせよ計画がストップするのは残念である。

 同社の行き詰まりは、米国のサブプライムローン問題の影響が大きいという。サブプライムローン問題を米国はどのように解決しようとしているのか。

 サブプライム問題で日本でもよく報道されるのが、大手投資銀行ベアー・スターンズにかんするものだ。急に資金繰りがつかなくなった同社を、今年三月十六日、米連邦準備銀行(FRB)(日本の日銀に当たる)が支援。JPモルガン・チェースが株価六十ドルで推移していたのを二ドルで買収すると発表。買収額は結局十ドルとなったが、ベアー・スターンズ社の破綻は免れた。この間、FRBが迅速に動いた。ベアー・スターンズの行き詰まりに気づくと迅速に動き、JPモルガンに買収するよう依頼、その際、二百九十億ドル(三兆円)まで保証するとした。FRBは金利も下げて、市場にカネが出回るようにした。

 米政府も十八兆円の緊急経済対策を発表し財政出動を行った。内容は主に減税である。米国民一人当たり六万円相当の減税となり、ブッシュ大統領は、カネを使って景気を回復させてくれ、というメッセージを国民に伝えた。

 さらに、七月にはいると、米の二つの政府系住宅金融機関、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を米政府とFRBが救済する(融資枠の拡大や株式の購入、カラ売り規制)方針を表明した。三十二兆円の救済法案も上院で可決されている。

 なにがなんで米政府が景気を浮揚させるという意志を表すもので、日本で盛んにいわれた自己責任論のかけらもなく、公的資金をどんどん投入している。財源は、通貨増発となろう。早く手を打つことで、損失は最小限に抑えられる。

 バブル破綻処理と経済のソフトランディングにはこれほどの政治が必要だったのだ。米サブプライムローンの問題が峠を越すのは今年十月頃という見方もあるが、ほぼ、一年でサブプライム問題に片が付くと思われる。

 日本のバブル崩壊後、米国の経済学者らは日本の失敗をよく観察してきた。必死にサブプライム危機を抑え込んでいるFRBのバーナンキ理事長も日本に対して、「通貨増発で減税や公共投資を行うべき」(カネを刷って国民にばらまけ)と助言してきた。

 米の金融機関の救済策には、ルール無視の二枚舌という批判もある。しかし、自国の経済危機を回避し、国民の損失を最小限にとどめることこそグローバルスタンダードなのではないか。(明) (2008年7月15日号掲載)


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