連載コラム視点752
渡久地明(沖縄観光速報社)


麻生氏の積極財政策はトーンダウンか

 麻生太郎新総理には、期待している。麻生さんにはぜひとも日本の景気を回復させてもらいたいので、注文をつけたい。

 総裁選前から麻生さんは景気回復には積極財政が必要だと主張していた。ぜひこれを実行していただきたい。

 ところが総裁選では発言がどんどんトーンダウンしていると感じられる部分があった。(1)消費税増税が必要だが、三年は据え置く(2)バラ捲きはやらない(3)赤字国債は発行しない、などだ。

 まず、景気が回復すれば消費税の増税は必要が無くなるはずなので、三年かけて景気を回復して消費税を上げるというのはおかしいのではないだろうか。

 第二に、バラ捲きはやらないというが、いまの不況の原因は消費がどんどん減退していっていることが原因であり、消費主体である国民にカネをバラ撒くのが最も適切な積極財政策であるはずだ。バラ捲きが正解であるとなぜいえないのだろうか。

 第三に赤字国債は発行しないというが、財源はどうするつもりか。もちろん、赤字国債を発行しなくても、政府通貨を発行するなどして財源は出せる。なぜ、堂々と財源は政府通貨であるといわないのか。

 麻生氏の良いところは積極財政で景気を拡大させるというところにあったはずだが、総裁になったら、埋蔵金を財源に使うという上げ潮派や消費を一層縮小させる増税派に変身したというのでは話にならないだろう。

 首相になったばかりなので、しばらくは様子を見ようと思うが、何ヶ月も適切な手を打てないというなら、考え直さなければならない。

 サブプライムローン問題でアメリカ経済が崖っぷちにある。アメリカの財政・金融当局は思い切った手を打ち出して危機を回避しようとしている。さすがアメリカだなあ、と思ってみていたら、アメリカでさえ巨額の財政出動には国民や議会の反対があった。

 しかし、財政・金融当局は渋るブッシュ大統領に「あなたはフーバー大統領の二の舞になるよ」と景気対策を迫ったと報道されている。フーバー大統領とは一九二九年の世界大恐慌の頃のアメリカ大統領だが、それほどアメリカは差し迫った状態である。

 ここにきて麻生氏は赤字国債は出さないの、バラ捲きはしないなどといって、「百年に一度の金融危機」を乗り切れるのか。

 米当局は日本のバブル崩壊後の金融危機では通貨増発を助言していた。サブプライムローン危機ではFRBなどアメリカの金融当局は日本に通貨供給など協調的な金融政策を求めている。

 通貨発行益による日本の景気回復は、アメリカを助けることにもなる。ついでにアメリカの金融機関も日本が買い取ればよい。世界の安定にも大いに役立つことになる。持論の積極財政策の展開に躊躇する必要は全くない。(明) (2008年9月15日号掲載)


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