連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(3)
おきなわ観光情報研究会


IT導入のケースを考える…IT導入とビジネス・ビジネスモデルを明確に!

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 IT導入に当たって基本として何を考えるべきかについて、前回は、IT導入の目的を明確にすることが如何に大切かを述べた。今回は、IT導入とビジネスについて考える。

 導入目的が明確になったら、次に大切なことは、目的を達成するためのITを導入した場合のビジネスを考えることである。即ち、ITを使ってどのようにビジネスを行うか、あるいは展開するかを考えなくてはならない。

 今回は、一番気になる事例として、導入目的が新しい事業・商売の創造・拡大、にある場合について取り上げる。

 理解を深めるために、簡単な事例により説明する。例えば、会社の新規販売手段あるいは宣伝手段としてホームページを造り電子商取引(通称e-コマース、eビジネスという)を開いたとしよう。多くの場合、ホームページを開設しただけで、商売(売上げができる)ができる、宣伝ができると思われていて、ビジネス戦略やビジネスモデルを考えずに事業をやろうとする企業が多々ある。特に、中小企業においてこの傾向が強く、これは大きな間違いである。沖縄の企業で助言を行った健康食品を製造販売するI社では、自社製品の販売用のホームページとECサイトを制作会社に依頼して立ち上げ、ネットワーク上に公開したが、アクセスも極めて少なく、したがって、売上げがほとんど無い状況であった。

 ここで問題になるのは、ホームページを立ち上げ、商品販売のためにネットワーク上で商品を陳列したからといって、通常、誰も買いに来てはくれないことだ。ビジネス戦略やいかに売上げを増やすかの工夫、何百万とネットワーク上にあるホームページ(サイト)の中から、自社のホームページを見てもらい、商品を買ってもらうようにするか、真剣に考え、工夫する必要がある。

 ほとんどの場合、制作会社任せのサイトつくりになっていて、販売側の思いが購買者に伝わっていない、極めてビジネスマインドが希薄な状況である。これではITを活用したビジネスは成功するはずもなく、商品も売れるはずもないのである。

 これでは、何のためにITを導入するか? になってしまう。店頭で販売する場合、いかに店への来客を増やし、陳列してある商品を買ってもらうか。来客者の意図を探り、来客者に商品をどのように説明するか。印象を良くし、また買いに来てもらうためにどのようにしたら良いかなど、販売のために工夫し努力する。

 ITを活用する場合でも全く同様のことで、販売手法は、従来のリアル店舗で販売するのと変わりはない。

 多くの企業で指摘できるのは、ITやホームページに不慣れなために、来客者と販売・ビジネス戦略のことを頭に浮かべず、販売やビジネス戦略に無知識な制作者やデザイン優先、かっこ良さ優先の制作者に依頼し、「ビジネスと事業戦略」を考えずサイトを造り、運営しているケースが非常に多いことである。これは、やってはならないことだ。ビジネスの基本・戦略、お客様への対応を忘れず、サイトを企画し、制作し、運営するべきである。(「観光とけいざい」第660号04年7月15日)


 |  連載4 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.