緊急報告
電子化に取り組む政府と自治体
おきなわ観光情報研究会


電子政府とユビキタス社会シンポから

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 8月2、3日、日経新聞社主催、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省後援で開催された、電子政府・電子自治体戦略会議では、電子自治体、e-Japan、ユビキタス情報社会など37のタイトルに分け、講演やパネル討論が行われた。

 戦略会議では、電子政府・電子自治体・次世代のユビキタス社会の本格的な導入と創造に向け、中央政府主導で地方自治体、官民一体の大掛かりな動きが察知された。

 会議では、北海道知事、岐阜県知事、鳥取県知事、徳島県知事や地方自治体の、この分野で先導的な多くの市町村(例えば、水沢市、神戸市、横須賀市、市川市等)が発表者や討論者に名を連ねている。残念ながら、沖縄県関係の自治体名は、無かった。

 北海道知事、岐阜県知事、鳥取県知事、徳島県知事(洪水の非常災害で欠席)による「電子自治体で高める競争力と地域活性化」と題するパネル討論会で討論された概要を紹介する。司会者は、須藤修教授(東京大学大学院・情報学環教授)で行われた。

 討論のポイントは、@説明責任、Aサービスの向上、B地域振興、C人づくり、の4項目が中心にあげられた。徳島県知事を除く3知事の発表趣旨を中心に紹介する。

(1)梶原拓・岐阜県知事

 インフラ整備、端末装置の普及、システムの構築、産業の振興、人づくりの5項目をバランスよく推進することを予定している。岐阜県では、ITの活用については、これまでバックオフィスを重点的にIT化を進めてきたが、今は市民サービス(フロント)へ移行している。これには、ポータルサイトを導入しており、大衆が利用し易く、使い易いシステムを構築するべきで、公的サービスから市民の活用までシームレスな仕組みにすることである。

 次の施策を重要視している、(イ)無線技術の普及、(ロ)端末装置にPC・デジタルTV、携帯電話、自動車への搭載端末を3点セットとして考えている。これからの問題として、民間ビジネスの基盤を域内でどう作るかで、なるべく地元で手を掛けるよう(地元調達)にすることと考えている。しかし、自治体の調達において地元企業の入札資格の問題があり、地元企業でも受注し易いように、この点を改善する必要がある。

(2)片山善博・鳥取県知事

 鳥取県では、電子化について、@県庁の電子化、A県民との間を電子化、BITによる地域振興、の3つを柱に推進している。県庁の電子化では、決済システムを電子化し、決定までの期間を短縮する効果を上げている。

 また、予算編成においてペーパーレス化を導入しており、紙を全く使わないで編成作業を行っている。この結果、作業がデジタル化され、情報の公開が容易となり、情報の透明化が進んだ。デジタル化されたことにより情報を何時でも公開することが容易となり、これまでの紙ベースで分厚い印刷物を閲覧することに比べ、編成関係者、議会や市民への閲覧と公開が容易となった。

 鳥取県は、高速道路の整備で後れを取っており、ITで先導的になりたいと考えている。そのために情報ハイウエーを充実している。この環境が整ったことにより、コールセンターの誘致と設置が大幅に進んだ。

(3)高橋はるみ・北海道知事

 北海道は、電子化の整備が遅れている。@北海道ブロードバンド構想の推進、国と協力して北海道212市町村の内166市町村まで普及してきたが、さらに拡充する。Aポータルサイト「北海道人」を平成13年度より開設し、地域ポータルおよび行政のワンストップサービス用(行政ポータル)として活用している。1日のアクセスは2万アクセスあり、月60万アクセスある。Bスクールネットの整備を進めており、学校間交流が円滑に行われるようにしている。C電子申請、を進めている。今は、「北海道電子自治体プラットフォーム構想(HARP)」を推進しており、共同利用による効率化を目指し、個々の自治体がポータルサイトのシステムを作らない、持たない方向で進んでいる。また、ITを活用した、@遠隔医療の取り組み、A充実した生活の実現への取り組み、B職の安全確保の取り組み(トレーサビリティー)、C障害者への取り組み、などの地域政策を推進している。札幌は地域ポータルづくりに熱心である。

 最後に、人づくりについて知事らは次のようにいう。

(1)片山知事:最初は基盤整備のための人づくりが必要で、仕事が無いと育成ができないという課題がある。アーカイブ技術で、デジタルミュージアムの構築を考えている。セキュリティー技術の向上を目指しており、企業で大学を設立し産官学で進めている。

(2)梶原知事:子供の時からやらなくてはいけない。市立幼稚園でIT教育ができる先生が100%ととなった。社会人教育が必要で、主にインターネットをどう活用するかである。セキュリティーは永遠に発展する事業と考えており、この製作の下請けを進めている。

(3)高橋知事:若年者の仕事が無いので、人材育成に苦労している。仕事をどのように盛り上げてゆくかが課題になっている。

 各県知事が発表した内容は、夫々の県が、電子化に取り組んでいる具体的な事例が挙げられており興味深いものである。自治体間の競争が激化する時代となり、差別化の手段としてIT導入を図っている。また、何れの発表にも共通な点は、地域サービスと市民サービスの向上を上げていることだ。どの県でも共通して人づくりが課題になっている。(「観光とけいざい」第662号04年8月15日)


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