連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(5)
おきなわ観光情報研究会


成功の鍵は多くの人に利用されること

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 IT導入には、導入の目的、ビジネスモデルを明確にすることが必要であること、ビジネスと事業戦略が大切であること、HPの作り方を前回までで述べた。

 ITを導入しようとする場合に、導入当事者はどのような構想を頭に浮かべ導入を計画するのであろうか? 色々な思いを描きながら構想を練り導入を図る人が多いといえます。

 如何なる導入計画、アイデア、企画であろうとも「鍵は利用者を想定し、多くの人に利用されるシステム」を、導入者もシステムを開発する技術者や受託企業は、常に念頭に置くべきといえます。もちろん、誰でもその積もりで計画推進当初はスタートするのですが、途中で目的と方向を見失い、すっかり利用者の顔と利便性を忘れてしまう場合が非常に多く、システムが出来上がると操作性は悪く、利用者に便利なシステムに仕上がっていないケースが巷に氾濫しています。多くのIT開発や導入で不成功の道をたどっている事例が7割以上といえ、成功事例は極めて少ない状況といえます。

 この原因の多くは、@利用者、利用方法、運用方法、システムと利用者のインターフェイス(マン・マシン・インターフェイスといいます)が熟慮されておらず、ビジネスコンセプトが明確になっていない、Aメーカーの製品や技術を押し付けられてコンセプトやシステムを導入している、B自治体や公的機関で多く見られるケースとして、自己の責任回避のために、大手企業任せで使用目的や利用者の便を熟慮せずシステムを導入する、C大手企業や優れた技術者は、己を過信して、コンセプトに合わないシステムを合っているかのように押し付ける、を挙げることができます。

 IT導入時のこれらの諸問題は、大手企業でも中小企業でも同じことがいえます。また、社内利用システムであっても、社外向けの利用システムであっても同じです。例えば、中小零細企業の場合を想定しましょう。通常、ITに堪能な社員は極めて少ないか、居ない場合が多いといえます。このような状況で、@ITに堪能な人が居ないと使えないシステム、A操作が複雑なシステム、Bワンタッチで操作できないシステム、などを導入してIT導入効果が上がるといえません。投資に対する見返りは期待できない羽目に陥るでしょう。このようなことにならないシステムを導入しなくてはなりません。

 多くの自治体や企業など随所で、ポータルサイトの導入が進められています。北海道(道主導)や札幌市、沖縄県でも事例があります。これらの導入システムの評価は如何なるものでしょうか。システム導入の評価は、@どれだけ多くの人に利用されるか、Aポータルサイトによりどれだけの潤いが創造されたか、に尽きるでしょう。もちろん、潤いには、企業の繁栄、自治体の場合には地元企業や地元住民にどれだけ潤いを与えたかで決まるといえ、興味深いところです。

 先に述べたように、成功と潤いは、大手企業に発注したから成功するといえません。ハードに大枚を使い果たして、運営のノウハウとソフト、使い勝手のよいソフトウエアやコンテンツに費用を潤沢に割り当てられなかった開発システムは、多くの場合、不成功に終わっている事例が存在しています。

 成功には、運用と利用ノウハウが大変重要になります。大手企業や社内体制が縦割り体制のシステム開発業者は開発する能力は有っても、利用や運営ノウハウは無いし、まとめられないといえます。これらのノウハウは、地元の人々や利用者、導入者が一番よく知っている(ノウハウを持っている)ことで、それらの人々の意見が反映されたシステムが成功への道を歩むシステムが生まれるといえます。

 IT導入の成功は、@利用者第一主義で、利用者を増やす工夫、A何れの場合においてもお客様本位(利用者本位)であり、システムに簡単にアクセスできるようにすること、B利用者の操作ボタンを明確かつ簡単にする、Cハードはできるだけ安くし、運用とソフトにお金を掛ける、をよく考え導入を進めることといえます。利用者を忘れたITのシステムは導入するべきではないといえます。(「観光とけいざい」第664号04年9月15日)


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