連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(7)
おきなわ観光情報研究会


成功の鍵は実施手段の選定にあり(2)

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 ITの導入やシステムを開発する場合に、目的を明確にする必要があることを前に述べました。目的の次に考えなくてならないことは、多くの場合、その目的をどのような手段で実現しようかということです。この手段の選定において最適な手段の選定が重要になります。前回では、その最適手段の具体的な選定方法と与える条件について説明しました。

 今回は、条件の与え方について述べます。

 前回では、最適手段を決定するに当たり5項目の適用事項を挙げました。その内の第一番目に挙げた適用事項に、手段を考える時に、あらかじめ目的を実現するに必要な条件を決める必要があることを述べました。この条件は、@必須条件A一般条件の2種類に分けて考え、必須条件は必ず実現しなければならない条件で、一般条件は、多少ずれてもよい条件として分けることを述べました。

 この条件設定をする場合に、どのように考え条件を設定したらよいか、その方法が分からないために、設計や企画段階で条件設定を省いてしまう場合が多々見られます。そして、システム開発やIT導入にあたって目の前のことだけを見て開発や導入をして、失敗や機能の不十分なシステムの導入になったり、サービスの提供になったりしています。多くの場合、よく考えないでカット・アンド・トライ(開発しながら考えたり、導入しながらシステムつくりを行い、手直しをしながら完成するやり方)的に作業を進めている事例が多くあります。このやり方はできるだけ避けた方が完成度を上げることができるし、将来にも長く利用できるシステムを作り上げることができるようになります。いわゆる、コンセプトが確実に出来上がってからシステム作りをするということになる訳です。考え方を簡単にするために事例を挙げながら条件設定の方法を説明します。

■入り口と出口(入力と出力)を考える

 サービスやシステム、あらゆる事業には、入るものがあって出るものが必ずあります。この入るものや出るものは、その場その場で形態は異なりますが、必ずあります。商売する時には、お金が入り、商品が出て行きます。どのような事業でも最終的にはお金の入金と商品(サービスや色々の物があります)の出荷に集約されます。システムの場合には、どのような信号(画像やテキスト、音声など)が入力され、どのような信号(動画なのか静止画なのか、制御用信号なのか等)が出力されるかということになります。

 身近にある例で、ポスレジを考えましょう。ポスレジで受け取るお金は、どのような種類のものを入金対象とするか、お金を出す時は何かにより、条件の与え方が変わります。

■必須条件の設定の検討

 現金を扱うのか、小切手の受け取りはあるのか、クレジットでの受け取りはあるのか、商品券の受け取りはあるのか、その場合のお釣りはどうするのか、など入るものと出るものが必ずあり、前回で述べたように想定される利用方法は全て列挙することに当てはめ、ポスレジで扱うもの全てを列挙し、その動き(取り扱いと処理方法など)を想定した上で、必要条件を設定します。

 例えば、@現金の入出金は行うA現金の計算は無くしたいB取扱者は店員で正社員とアルバイトで簡単操作にしたいCクレジットを扱うD小切手は扱わないE商品券は扱うF商品券に対して現金でお釣りを出すGオンライン集計したい、などを必要条件として想定できます。

 この時のポスレジは、どのようなポスレジにすればよいか、想定がつくようになります。カタログやメーカーの説明を聞き、最適手段の選定手法に則り導入機種を決めるようになります。通常は必須条件だけでは最適手段は決められません、ここでは、必須条件の設定方法を理解していただくために簡略化して説明しております。

 必須条件は、ここで上げたように業務内容や取り扱う物、システムの入り口・出口の規格、提供したい内容などにより決定するようになります。これは、目的、行うビジネス、何をどのようにシステムを使うのか、事前に明確になっていれば容易に設定ができるようになります。

 条件設定を手抜きすると欠陥商品や欠陥システムを作ることになります。手抜きは絶対にやらないことです。また、欠陥商品や欠陥サービスを導入しないためには必要条件の設定が分からないシステム開発者やシステムエンジニアには仕事を頼まないことです。(「観光とけいざい」第668号04年11月15日)


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