連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(9)
おきなわ観光情報研究会


成功の鍵は実施手段の選定にあり(4)

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 IT導入で成功するには、導入の目的、ビジネス・ビジネスモデルを明確にする、ビジネスと事業戦略が大切、多くの人に利用される工夫が必要、実践手段の選定を的確にする、入口と出口と加工すること、即ち、要件定義書の最も重要な基本的な部分のまとめ方、考え方に相当する話をしてきました。今回は、その要件定義書に基づき、入口から出口に至るまでの、各部の機能の考え方「機能仕様書」について述べたいと思います。

IT導入・成功へのアプローチ…目的を実現する手法を考える-1

 ITの導入やシステムを開発する場合に、目的を明確にする必要があることを前に述べました。次は、どのような手段で実現しようかということを考えるわけですが、ほとんどの場合、事業にしてもシステムにしても、必ず入口(入力口)があり出口(出力口)があるといえます。これは、入力と出力に置き換えて考えることが出来ます。IT導入の成功には、この入口と出口の入力は何で出力がどのような物かを明らかにすることが重要になります。入口に入る物(例えば、お金や物、経理なら伝票類)、出口で欲しい物(商品、お釣り、帳簿付けなど)が明確になれば、次は、入口に入れた物を出口で、自分の欲しい物に加工して取出す方法を考えることになります。この方法が機能に当たることといえます。

 今回は、システムや事業における加工に相当する機能について述べます。どのような機能をシステムに備えれば「入口で物を入れたものが、加工されて、出口で欲しいものにして取出すことができるか」ということになります。ここの作業ではどのような加工、即ち、機能を与えればよいかを工夫することになります。目的の物を出口で、希望する物に加工して確実に取り出せるよう機能を選定しなければなりません。どのような機能で実現するか、最適手段の選択手法により取出したい物と加工方法(機能)を関連付けて考えることになります。

 前回理解がし易いようにコーヒー粉を作ることを事例に挙げました。コーヒー粉を作る作業には、入口で入れる物は「コーヒー豆」で、取出す物は「コーヒー粉」といえます。加工作業、即ち、システムや製造機の機能は「コーヒー挽き」と「焙煎(豆を煎る)」の機能を備える必要があります。システムや製造作業の流れとして、コーヒー豆の選定が済み、粉にすることだけを考えますと、コーヒー豆を焙煎器(焙煎器に形態や煎ることに特徴を持つものがあれば、焙煎器の形態、特別な機能などを決める)に入れ、希望の煎り具合(仕様で煎り具合を決定、例えば、5分、10分とか、もっと深く煎るとか)になるよう豆の煎り具合を設定し、煎る作業を行います。このように「豆を煎る機能」を考えることになります。

 この機能、即ち、機能仕様を考える時、さらに、時間設定を行えば、自動的に煎り具合が決められるとか、時間では煎り具合の見当がつかない場合には、浅い煎り具合‐中くらい‐深い入り具合などのボタンを設けることにより、誰でも簡単に操作できるようにするなど、加工機能の選定になります。この機能選定においては、コーヒー豆の売り方を考える(想定する)必要があります。これは、前に述べた必要条件の与え方と基本仕様の決定に当たります。

 例えば、コーヒー売り場に豆を陳列し、お客様が好きなように自分で煎って下さいという場を想定すると、コーヒー豆を煎る専門家が介入しないので、お客様が操作の間違いを起こさないで、目的の煎り具合にできる機能を持たせる必要があります。

 専門家が操作する場合には、お客様の希望を聞き、システム(豆煎り器)の細かい調整をして満足がいただけるようする機能を持たせるなど、状況により与える機能が変わります。基本仕様、条件設定に沿い加工できる機能を持たせるよう工夫する必要があります。これは、機能仕様書を決めることになります。機能仕様書を決めることは重要です。システムや事業全体の構想や構成を描き、各部を構成する部位の夫々について、目的が実現するよう機能を検討し、機能仕様書を決めなくてはなりません。ここで重要なことは、構成する各部を明確にし、必ずその機能をどのようにするか考え、機能仕様や機能配備書としてまとめることです。

 与えられた条件に沿って、最適な出力を得る加工作業の内容と加工する機械(これを機能と呼ぶこともあります)を選定することになります。製造やシステムでもビジネスモデルでもこの加工作業内容(仕様)を設定した条件、入出力の条件によって決め、加工を行う(システム内作業)機能を決定しなければなりません。

 このように、ITの導入を成功に導くためには、あらゆる面を考慮して条件設定を行う、入口に入れ出口で取出す物を明確にし、入口と出口の条件設定と仕様、それに機能を決めるようにする必要があります。この機能の決めを手抜きすると、欠陥システムや欠陥ビジネスになりますから注意してください。(「観光とけいざい」第671号05年1月15日号)


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