連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(10)
おきなわ観光情報研究会


実現したいことを正確に伝える(1)

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 IT導入で成功するには、導入の目的、ビジネス・ビジネスモデルを明確にする、ビジネスと事業戦略が大切、多くの人に利用される工夫が必要、実践手段の選定を的確にする、入口と出口と加工すること、即ち、要件定義書の最も重要な基本的な部分のまとめ方、機能仕様書の考え方にについて話をしてきました。今回は、実現したいことを明確にし、正確に表現することの重要性と、どのように表現すればよいかをお話します。

 ここで何故正確に伝えるということの重要性を記述するかといえば、実現したいことを正確にシステム開発者やビジネスの実行者、製造担当者に伝えないとIT導入に失敗するからです。例えば、ITを導入して実現したいことは、目的や条件、要件定義書や機能仕様書にまとめる必要があります。このまとめと実現したいことの記述は、正確に相手(例えば、システム開発者)に伝達しなければなりません。この記述があいまいになると、意図する実現内容が正確に伝わらないことになります。私の経験では、自分自身は正確に記述した積もりでも相手に正確に伝わらず悩んだことがあります。この原因は、日本語の表現があいまいな記述表現になることが主要因といえます。

 自分の実現したいことを正確に伝えるには、次の諸点に注意し記述するよう心がけなくてはなりません。@記述された内容を読んだ人が、複数の解釈ができるような記述は避けなくてはなりません、即ち、内容の解釈は一つしかないという表現手法が求められます、A記述内容を相手に考えさせないようにすることです。即ち、文章を読めばすぐ理解できるような表現手法を用いることです。考えさせるということは、人によって考え方と理解の仕方が異なることになり、伝わる内容に違いが生じるということです。ここに述べることは大変重要なことです。システム開発者の中には要件定義書や機能仕様書をきちっとまとめず作業に取り掛かる人が多く居ます。IT導入を失敗しないためにはシステム開発者も発注者も実現したいことを明確にして書き表すようにすることが重要です。書き表せない人にはシステムの開発を依頼しないことです。

 日本語での記述は大変あいまいで、解釈が複数になります。例えば、以前のコラムでコーヒーの粉を作る話と煎る話をしましたが、先ず粉を作る例について考えましょう。「コーヒー粉が欲しい」と要求仕様を書いたとします。これでは、どのような粉が必要か明確になっていません。「粗挽き」なのか「普通挽き」か希望する粉の程度を表現する必要があります。コーヒー豆を煎る場合も同じで、「深煎り」「浅煎り」の指定は必要になります。

 本当は、豆の種類を考え「煎る程度」を時間などで指定すれば、さらに希望する条件に合った自分好みの煎り具合のコーヒー粉を手に入れることができるようになります。販売店であれば顧客満足度の向上が図れ、売り上げ向上につなげることができるようになるでしょう。このように、日本語の表現はあいまいになります。実現したいことはできるだけ正確に伝わるよう記述方法を考える必要があります。

正確に伝える手法は…

 日本語での表現のあいまいさを前で述べました。それでは、どのようにしたら正確に伝えることができるかを考えましょう。

 ここで重要なことは、如何に相手に正確に伝えるかです。@先ず、実現したいことを数字で表せるか工夫する。例えば、コーヒーの煎り具合の表現では、煎る時間と煎り方を指定する。煎る熱源は何で何分というような表現にする。Aできるだけ図を使って記述する。図を使うと理解度が増し、正確に伝わります。機能を表すような場合には、全体の機能ブロック図を描くと分かりが良くなります。そのブロック毎に詳細機能を考えると必要な機能と役割が明確になります。

 このように、ITの導入を成功に導くためには、あらゆる面を考慮して記述を正確にし、相手に実現したい内容を性格に伝えるようにします。常日頃から図を描き物事を考え、まとめる習慣をつけることをお勧めします。(「観光とけいざい」第673号05年2月15日号)


 |  連載11 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.